政府/グローバルサウスと連携強化へ方針まとめ、日本企業の設備投資支援

政府は11日、新興・途上国「グローバルサウス」との連携強化に向けた初の方針をまとめた。産業協力の強化に向け、現地に展開する日本企業の設備投資を支援する。政府開発援助(ODA)も拡充し、民間資金の流入を促す新たな国際協力の仕組みも検討する。近く閣議決定を予定している「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)にも盛り込む方針だ。
同日に「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は、グローバルサウスを「共に成長し、未来を創っていくパートナー」と表現。経済・産業分野の協力関係の強化が「わが国の国益にかなうとともに、国際社会における分断と対立の動きを協調へ導くものになる」と期待を込めた。
同会議で決定した方針には、日本企業の途上国での設備投資を支援する考えを盛り込んだ。AIやGX、次世代自動車など日本企業が強みを持つ分野で、研究開発や商用化に向けた実証を後押しする。岸田首相は「民間企業では背負いきれないリスクに対応するため支援を強化し、日本企業の現地展開を通じた産業協力を強化する」と話した。
岸田首相はODAの拡充を通じた「国際協力の新しい仕組み」の構築も指示した。2023年6月に改定した開発協力大綱の実装に向け、相手国の要請を待たずに提案する「オファー型協力」を推進。民間のアイデアや資金を取り入れながら支援していく体制を整える。
日本企業の現地展開を支えるため、国際開発金融機関などを通じた現地企業とのマッチングや、各国政府との協調案件の促進に取り組む。ビジネス上で発生した紛争処理への協力や、地方自治体と連携した地域企業の海外展開の促進にも力を注ぐ。
25年までを対象期間とした現行のインフラシステム海外展開戦略について、30年を見据えた新たな戦略を策定するよう指示した。官民連携(PPP)による案件形成プロセスの上流への参画や、運営・維持管理(O&M)による事業への継続的関与を推進する。

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