「映像に裏メッセージが?」アニメ『鬼滅の刃』歴代主題歌にまつわる「隠された意味」考察

『鬼滅の刃 柱稽古編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2019年から放送されてきた人気アニメシリーズ『鬼滅の刃』。現在は5シリーズ目となる「柱稽古編」が好評放送中だ。

『鬼滅の刃』といえば、毎回実力派アーティストによる主題歌が話題になる。2019年に放送された『「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』の主題歌として起用されたLiSAさんの『紅蓮華』はアニメともども大ヒット。同年末の『第70回NHK紅白歌合戦』でも歌唱され、その際はアニメの映像が使われた。また同じくLiSAさんによる映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の主題歌『炎』や、テレビアニメ『無限列車編』の『明け星』、Aimerさんによる『遊郭編』の『残響散歌』など、本作を契機に大ヒットした曲は少なくない。

曲にマッチした美しい迫力あるアニメ映像は見入ってしまうものばかりだが、何度も繰り返し視聴するファンによって新たな“発見”があることも。Xなどでは、主題歌の映像の中に「これはフラグではないか」とささやかれる考察や隠された小ネタがいくつも話題になってきた。

今回は、見逃し厳禁な、『鬼滅の刃』歴代アニメシリーズ主題歌の「隠された意味」を考えたい。

■炭治郎と柱の向きに込められた意味?

まず最も有名なのが、各章のオープニングのタイトルロゴの背景にいる、主人公の竈門炭治郎と柱の人物の向きについてだろう。

2019年放送の第1シリーズ『竈門炭治郎 立志編』のタイトルロゴは、炭治郎が画面をまっすぐ見つめたあとに真剣な横顔が映し出されるというものだったが、以降その章のキーパーソンとなる柱が一緒に描かれている。

竈門炭治郎はどのシリーズにおいてもずっと左を向いているが、2021年放送の『無限列車編』に登場した炎柱・煉獄杏寿郎は逆の右を向いている。続く2021年『遊郭編』では音柱・宇髄天元は炭治郎と同じ左向き、2023年の『刀鍛冶の里編』のタイトルロゴに登場した霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃も左向きと、煉獄以外は左を向いている。

これについて、無限列車で煉獄が命を落としたことから、ファンの間では「道が分かれてしまった」という暗示ではないかという意見が多い。あとから見返すと何とも意味深な構図であることは間違いないだろう。

ちなみに、『遊郭編』に登場した宇髄は左を向いているものの、左腕だけは画面右側にきている。宇髄は『遊郭編』において上弦の陸との戦いで左腕を失っている。そう考えると、このキャラの向きに対する考察も、確かに意味があるようにも思える。

なお、現在放送中の『柱稽古編』では、これまでタイトルに登場していなかった5人の柱である水柱・冨岡義勇、蟲柱・胡蝶しのぶ、蛇柱・伊黒小芭内、風柱・不死川実弥、岩柱・悲鳴嶼行冥が描かれている。みんな左側を向いているということは……ひとまずは安心して視聴を続けられそうだ。

■「柱稽古編」エンディングでも

さて、現在放送中の『柱稽古編』のエンディングでも、驚く仕掛けが施されていると話題になった。

『柱稽古編』はオープニング曲『夢幻』をMY FIRST STORY × HYDEが、エンディング曲『永久 -トコシエ-』をHYDE × MY FIRST STORYが手掛けている。そして、それぞれが歌い分けているパートの歌詞が、Hiroさんが鬼殺隊の目線を、HYDEさんが鬼舞辻無惨の目線で歌っているのではないかと言われているのだ。

さらに、気になるのはエンディング映像後半での無惨の行動だ。雪の上を歩く無惨は赤い木の実を踏み潰す。実の数は6個である。そのうち1つだけがちょうど靴底の形によって潰れずにすんだが、残りの5つは血のように赤い汁を垂らしてグチャグチャに潰れてしまっている。

これについて、一部のファンが『竈門炭治郎 立志編』第一話で無惨によって襲撃されて死んでしまった炭治郎の家族を表しているのではないかと考察。SNSなどで話題になった。あのとき死んだ家族は、母の葵枝と弟妹の竹雄、花子、茂、六太の計5人。とすると、唯一の潰れなかった実というのは、鬼の血に適応して生き残ることができた禰󠄀豆子のことだろうか。

一瞬だけ挟み込まれるこのシーンの後には、激しい雪の降る中の竈門家が映し出される。まさにこの後、無惨が竈門家を襲撃せんとする場面なのだ。そう考えると、潰れた木の実がとてもグロテスクで残酷なもののように感じられる。

■歴代『鬼滅の刃』主題歌の「花」

アニメ『鬼滅の刃』の主題歌にはさまざまな「花」が登場し、随所で四季を感じさせる。

『無限列車編』では線路の上を歩く煉獄の背中を追う炭治郎らの周りに彼岸花の花びらが舞い、引きの映像では周りに彼岸花が咲き乱れていることがわかる。その後の煉獄のアップでも彼岸花が描かれているが、これには彼岸花の花言葉である「情熱」「悲しき思い出」を想起させずにはいられない。

亡くなった人をしのぶ花だからこそ、煉獄の周りに鮮やかに咲き誇っていたのだろうと考えると胸が苦しくなるが、煉獄や、ここまでの戦いで散っていった鬼殺隊士たちをイメージさせる花であることは間違いないだろう。

となると気になるのが、『竈門炭治郎 立志編』と『柱稽古編』での彼岸花の対比だ。『立志編』エンディング冒頭では赤い彼岸花が描かれ、『柱稽古編』エンディング冒頭では青い彼岸花が描かれているが、青い彼岸花は画面上部にぶら下がるように描かれている。この「逆さ向き」であることにも何かしらの意味が込められているのかもしれない。

無惨は青い彼岸花を探しており、作品における青い彼岸花の持つ意味は明かされたが、なぜここで青い彼岸花が上下逆に描かれたのかは謎が残る。

このほかにも『鬼滅の刃』の主題歌には様々な花が描かれており、何が咲いているかでおおよその四季や時の流れがわかるのが楽しい。

細かなシーンの作りこみに定評のある『鬼滅の刃』制作陣だからこそ、少しのシーンにも深い考察をせずにいられない。まだまだ我々の気づかないネタが仕込まれていそうだ。

© 株式会社双葉社