ダイバーシティ宣言300件 多様性推進の茨城県制度 企業や自治体、登録増

女性が多く活躍する鈴木ハーブ研究所の職場=東海村村松

多様性を認め、尊重し合う社会を目指し、茨城県が推進する「ダイバーシティ宣言」団体に登録する県内自治体や県内外の企業は、本年度中にも300件に達する見込みとなった。県内で労働人口が減少する中、多様な人材を確保し、能力を発揮する仕組みが求められ、県は引き続き、理解と浸透を促す。

同宣言は性別や年齢、国籍などにかかわらず、個々を尊重するダイバーシティ(多様性)への考え方を広げようと、県が2021年に制度化した。企業や自治体などが登録し、宣言団体数は21年度が113件、22年度が187件、23年度末の時点で279件となり、その後も増加している。

化粧品の開発、販売などを手がける鈴木ハーブ研究所(同県東海村)は21年に登録した。社員45人のうち女性が約9割を占める。

女性のライフステージに合わせた働き方を推奨し、時短勤務を導入するほか、現在は子連れ出勤制度の導入を検討中だ。男女とも産休・育休の積極的な利用を促し、宣言後の22年から今年5月末までの取得率は100%に上る。

障害者就労支援事業所と連携し、障害者に商品の梱包作業を依頼するなど、就労への支援も実施。同社の鈴木さちよ社長は多様性を尊重する上での課題に社員の理解を挙げ、「働きやすい職場環境の整備は社員の家族も幸せにつながる」と語る。

総合商社の関彰商事(同県筑西市)は、外国人をはじめ多様な人材の受け入れに積極的だ。インドなど10カ国以上、約50人がさまざまな部署で働く。同社は「それぞれ文化の違いがあるからこそ仕事に対する新しい視点が生まれる」と期待を寄せる。

自治体として21年に宣言した同県笠間市は、障害者や高齢者を含め、さまざまな立場の人との向き合い方や声かけの方法を学ぶ「ユニバーサルマナー」講習会を主催する。県の性的マイノリティーへの支援「いばらきパートナーシップ宣誓制度」の概要を市ホームページで紹介するなど、理解を促すための情報発信も行っている。

県ダイバーシティ推進センターによると、具体的な取り組み方などを含め、相談件数は増加傾向にあるという。同センターの担当者は組織の規模に限らず、あらゆる場面で多様性に関わる機会は増えていくと予測し、「県内での理解と浸透をより一層促していきたい」と話す。

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