カプコンがマカオで独自のバレーボール応援シャツ配布…アウェイでのファン獲得策

マカオ会場でバレーボール応援シャツを着て観戦した地元のファンら

 日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から6月2日までの6日間にわたって開催され、大盛況のうちに幕を閉じた。日本代表はパリ五輪切符を争うアジアのライバル中国との直接対決を制するなど3勝1敗の成績を収め、世界ランクを上げることにも成功。勢いに乗って五輪に向けた最後の戦いの場となる福岡大会へ臨むこととなった。

 日本にとってマカオはアウェイの地といえるが、日本が出場した4試合では日本チームに対する応援も多く、選手らにとって大きな力になったことだろう。筆者は4試合すべて会場で取材を行ったが、中国戦以外では日本ファンの数が優勢で、中国戦でも少なくない観衆が日本へ声援を送っていた。女子日本代表チームスタッフに聞いたところ、応援の声はきちんと選手に届いていたという。

マカオ会場のミックスゾーンでバレーボール応援シャツを着て選手を出迎えるファン

 マカオの試合会場で注目の的なったのが、バレーボールの応援グッズとして配布された特製シャツ。代表チームのウェアと同じく「カプコン」のロゴの文字が入ったもので、背面には大きく日本の国旗とバレーボール選手に扮したゲームキャラクターのイラストが入り、誰がみても日本をイメージできるデザインが目を引く。

 日本が出場する毎試合の第2、第3セットの合間に「カプコンタイム」と題したイベントが行われ、投げ込み形式で客席に配布されていた。口コミでイベントの存在が広がっていたようで、日増しに盛り上がりを見せていた。

マカオの試合会場で行われたカプコンによるバレーボール応援シャツ配布イベントの様子

 記者がスタッフに尋ねたところ、日本からスタッフが応援グッズとしてシャツを持ち込み、配布を行っていることがわかった。カプコンは2022年4月に公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)と3年間にわたるオフィシャルスポンサー契約を締結し、トップパートナーに就任している。バレーボールは日本国内ではもちろん、世界的にも多くの競技人口とファンのいる人気スポーツのひとつだ。同社によれば、カプコンといえば日本のゲームメーカーのイメージが強いが、ゲームの販売本数は日本が20%、海外が80%といい、今回マカオで実施したイベントについて、スポンサーアクティベーションの一環としてアウェイにおける女子日本代表の応援とともに、アジアにおけるブランド認知の向上を意図して企画したものとのこと。同様のイベントはVNL第1週トルコ大会、男子第1週ブラジル大会の会場でも実施していたという。

 シャツを手にした地元の女性ファンに話を聞いたところ、マカオ大会2試合目のフランス戦で手に入れることができ、デザインと質感がとても良く、これを着て3試合目の中国戦も日本チームを応援すると話してくれた。なお、カプコンのゲームについては、シャツのロゴに見覚えがあり、遊んだことがあるはずとのことだった。

 今回のマカオ大会には8ヶ国が出場したが、同様の取り組みをしていたチームは他になく、会場では揃いのシャツを着た日本のファンが目立つかたちに。シャツを着たファンを取材している途中、シャツがどこで手に入るかを聞いて回るファンの姿も多くみられ、人気ぶりをうかがわせた。アウェイの地で日本代表を応援するファンを獲得するナイスアイデアだったように感じた。

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