東北芸工大、自治体推薦入試を導入 小国町などと協定、地域に根差す人材育成

連携協定を締結した(右から)中山ダイスケ学長、仁科洋一町長、山科勝校長=小国町役場

 東北芸術工科大(山形市)は本年度から自治体推薦入試を導入する。地域に根差した人材育成を図る初の試みで、対象自治体の小国町などと11日に連携協定を結んだ。地元の魅力や課題を深掘りした学生が卒業後も地域で活躍することを念頭に、中山ダイスケ学長は「地域と大学の新しい関係性を生み出す取り組みになる」と期待している。

 自治体推薦入試は地域社会の担い手育成を目的に、特定の自治体が出身者などを大学に推薦する制度。同大は今回の協定締結を皮切りに、対象自治体を広げていく方針だ。

 同町を対象とした自治体推薦入試は町内在住の高校生や小国高などの在籍生が対象。同大は歴史遺産学科とコミュニティデザイン学科で若干名の募集枠を設ける。希望者は町に応募し、町側の審査を経て10月ごろに推薦者が決定。大学側が12月に面接を実施する。指定校制度と同様、推薦者は入学が前提となる。同大では在学中に地元を研究フィールドに課題解決能力を磨き、社会人としても地域に携わり、学びを活性化に生かしてもらいたい考えだ。

 町と同大は学生のフィールドワークの受け入れなどで結び付きが深い。町の保小中高一貫教育の核となる小国高の探究学習に同大の教員・学生が協力し、全国高校小規模校サミットの運営も支援する。連携協定は自治体推薦入試への参画や人材の相互派遣の強化などを図る内容となっている。

 町役場で行われた締結式には仁科洋一町長、中山学長、小国高の山科勝校長が出席した。協定書に署名し、仁科町長は「町づくりの大きな力になることを確信している」とあいさつした。中山学長は「連携の強化が持続可能なまちづくりの一助になるはず」、山科校長は「つながりが深まることで生徒の主体性がより磨かれてほしい」と話した。

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