かわいいけどイラッ!? 永野芽郁に石原さとみも…実写化作品で「ぶりっ子小悪魔キャラ」を演じた美人女優

『ピーチガール』 [DVD](松竹)

可愛らしくも、時折見せる小悪魔な一面で物語にアクセントを加える「ぶりっ子キャラ」は、昔から多くの漫画作品に登場している。

漫画原作の実写化映画ではさまざまな女優がこのぶりっ子キャラを演じ、その強烈な二面性でファンを驚かせた。今回は、漫画実写化作品でぶりっ子キャラを演じた女優たちの活躍を見ていこう。

■なにがなんでも男を奪い取る…絶対的黒幕『ピーチガール』永野芽郁

1997年より『別冊フレンド』(講談社)にて連載された上田美和さんの『ピーチガール』は、見た目がコギャル風の女子高生・安達ももを主人公に、4名の男女の恋模様を描いたラブコメ漫画だ。

本作はその高い人気から続編やスピンオフ作品はもちろん、アニメ化やドラマ化などさまざまなメディア展開を続けているシリーズとなっている。

そんな本作は2017年に実写映画化され、女優の山本美月さんとHey! Say! JUMPの伊野尾慧さんがダブル主演を務めることでも話題を呼んだ。

そして、本作で強烈なぶりっ子キャラ・柏木沙絵を演じることとなったのが、女優の永野芽郁さんである。

沙絵は主人公であるももの友達で、小柄で色白、清楚な出で立ちがももとは実に対照的なキャラクター。だが、その本性は友達の男を奪うことを生き甲斐とする“小悪魔”で、あえてぶりっ子を演じることで男を虜にする狡猾な一面を隠し持っている。

“清純派”なイメージの強い永野さんだが、ビジュアル面はもちろん、沙絵独特の“二面性”も完璧に演じ、ももの恋路を邪魔する“悪女”を三次元の世界に見事降臨させた。

舞台挨拶の際、永野さんは主演の山本さんとともに“沙絵の最凶極悪シーン”を振り返る一幕があったのだが、そのあまりの非道っぷりに永野さんが公開謝罪する場面も……。

普段はなかなか見ることのできない永野さんの悪女姿を堪能できる、なんとも貴重な作品といえるだろう。

■その愛くるしさは女性すらも魅了する? 『失恋ショコラティエ』石原さとみ

2008年に『月刊フラワーズ』の増刊である『凛花』(現:『増刊フラワーズ』 小学館)にて連載された水城せとなさんの『失恋ショコラティエ』は、とある女性との失恋を経てショコラティエとなった主人公と、その失恋相手との間に繰り広げられる数奇な運命を描いた恋愛漫画だ。

その高い人気から2014年には月9枠にて実写ドラマ化され、嵐の松本潤さんがショコラティエとして活躍する主人公・小動爽太を演じ話題となった。

そんな本作のヒロインであり、爽太の相手として終始彼を翻弄し続ける女性・高橋紗絵子を演じたのが、女優の石原さとみさんだ。

紗絵子は爽太の1年先輩の女性。美しい容姿もさることながら卓越したファッションセンスやメーク術を使いこなし、ちょっとした仕草で男を虜にするまさに“魔性の女”ともいえる存在である。

女性からすると“嫌な女”と見られがちなキャラクターなのだが、石原さんが演じた紗絵子はまさに“ハマり役”といえる程の完成度だった。主人公を翻弄する“小悪魔”な一面を覗かせつつも、その可愛さやぶれることのない美しさに圧倒される視聴者が続出。男性のみならず女性にとって憧れの存在となり、人気を博した。

石原さんが持つ女性としての柔らかい雰囲気と、大人としての凛とした一面が見事にミックスされ、新たな“高橋紗絵子像”を生み出すことができたのだろう。彼女の凄まじい実力があらわになった実写化作品だ。

■若手実力派女優が演じる“二面性”が愉快な女子高生…『町田くんの世界』高畑充希

2015年より『別冊マーガレット』(集英社)にて連載された安藤ゆきさんの『町田くんの世界』は、勉強も運動も苦手な冴えない高校生が送る学園生活を描いた、一風変わった恋愛漫画である。

主人公はいわゆる卓越した能力を持った“イケメン”ではなく、苦手なことだらけだが人々から愛される高校生・町田一。これまでの少女漫画とは違った主人公像に共感する人が続出し、その高い人気から2019年に実写版映画が公開された。

そんな本作でのぶりっ子キャラといえば、一と同じ学校の女子高生・高嶋さくらだ。さくらは失恋をして一から優しくされたことをきっかけに、彼を気にかけるようになっていく。

さくらのぶりっ子っぷりはクラスメイトの間でも有名なのだが、実は過去に一人の男性としか付き合ったことがないなど、さまざまなギャップを隠し持つキャラクターだ。“ぶりっ子”全開で町田に猛アタックするも、恋心が分かっていない彼にことごとくスルーされ、そのたび女子相手に激しい口調で苛立ちをあらわにしたりもする。

そんな表裏が激しいキャラクターを演じたのが、高畑充希さんだ。高嶋さくらの最大の特徴ともいえるこの“二面性”を、高畑さんは見事に演じ切り、数々のコメディシーンによって作品を大いに盛り上げた。

撮影当時、高畑さんは26歳であったが、制服を身に纏ったその姿はまさに現役女子高生そのもの。ちょっとした仕草や立ち振る舞いのなかにしっかりと“可愛さ”を表現している点も、彼女が若手実力派女優といわれるゆえんだろう。

恋に対し一途に、ときに貪欲に突き進んでいくキャラクター像を見事に表現しきった、高畑さんの実力が光る一作である。

ときにコメディタッチで、ときには圧倒的な悪役として……恋愛漫画に登場する「ぶりっ子キャラ」はその強烈な二面性で観る者までをも魅了してしまう。彼女たちのインパクト大な姿を見事に演じ切る女優たちの実力の高さにも、思わず圧倒されてしまう作品ばかりだ。

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