ハマスがガザ停戦案に回答 「完全な停戦」求める

イスラム組織ハマスは11日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐってアメリカが支持する停戦案について、回答を提出したとする声明を発表した。ハマス幹部はBBCに、イスラエルの恒久的な停戦の約束が必要だと述べた。

ハマスは、ガザの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」との共同声明で、停戦案に同意する「前向きな用意」があるとした。

イスラエルとハマスの交渉を仲介してきたカタールとエジプトも、ハマスが回答を提出したことを認めた。

現在の停戦案は、アメリカのジョー・バイデン大統領が先月末に発表した。第1段階で6週間の停戦と、イスラエル人の人質の一部解放、パレスチナ人の囚人の一部釈放をする。第2段階では、ハマスが残りの人質を解放し、イスラエル軍は「恒久的な」停戦の一環として、ガザから全面撤退する。ただ、撤退は交渉の対象となる。

この停戦案は、国連安全保障理事会が10日夜、支持する決議案を採択した。

声明の内容とアメリカの反応

ハマスとPIJは共同声明で、ガザにおける戦闘の「完全な停止」を要求。「今回の回答は、パレスチナ人の利益を優先し、現在進行中のガザへの侵略を完全に停止する必要性を強調するものだ」とした。

また、「この戦争を終わらせる合意に達するため、前向きに関与する」用意があると付け加えた。

米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は、ハマスが回答を提出したとしたのは「有益」だとコメント。ハマスの要求について「評価中」だと述べた。

ブリンケン米長官がイスラエルに

現在の停戦案は、イスラエルがハマスに示したものだとして、バイデン氏が先月末に発表した。実際のイスラエル案は公表されておらず、バイデン氏が明らかにしたものより内容が多いとされる。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの停戦案について、戦時内閣が承認したことは認めたが、自らが支持するとは明確には表明していない。閣内の極右メンバーらは、この停戦案の前進はハマスへの降伏だとし、そうなれば連立政権を離脱し政権は崩壊すると脅している。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は11日、ネタニヤフ氏が停戦案への「真剣な関与をあらためて表明した」とし、世界はハマスの回答を待っていると述べた。

ブリンケン氏はこの日、イスラエル・テルアヴィヴでイスラエル高官らと会談。ホテルの外では、停戦合意を求める人々が米国旗を掲げてデモを繰り広げた。多くの参加者が人質の写真を掲げ、「SOS、アメリカ」、「ブリンケン、あなたを信頼している。合意をまとめて」などと声を上げた。

ブリンケン氏はその後、ガザ支援の拡大を求めるアラブ首脳らとの会議のため、死海地域を訪問。イスラエルについて、「もっとできる」はずだと述べた。また、パレスチナへの4億400万ドル(約635億円)の新たな支援を発表し、他の国々にも支援を「強化」するよう求めた。

現在の戦争は、ハマスが昨年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連行したことで始まった。ハマスが運営するガザ保健当局によると、イスラエルの攻撃でこれまでに3万7000人以上がガザで殺害されている。

(英語記事 Hamas seeks 'complete halt' to war in Gaza proposal response

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