全国障害学生支援センター、「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2023」(受験編概要)を発表

全国障害学生支援センターは、2023年4月時点での全国すべての学校教育法に基づく大学(学生の募集を停止している大学は除く)、放送大学、文部科学省所管外大学校820校を対象に、「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2023」を実施した。そのうち、障害学生の在籍状況、受験可否・受験時条件、受験時の配慮の概要についての状況を6月7日に発表している。

調査結果によれば、障害学生が在籍している大学は307校に達し、在籍者の総数が1万5000名を超えている。また、障害学生が在籍している1大学あたりの障害学生の数は平均51.7名と、前回調査と比較してさらに増加した。

受験可否の状況を前回の調査と比較すると、すべての障害で受験可が減っており、過去6回の調査の推移をみても下落し続けていることがうかがえる。障害別でみると、知的障害が139校、視覚障害が166校で少ない状況が続いている。なお、同調査における「受験可」とは、大学に障害学生から問い合わせがある前の段階(まだ大学に障害学生から問い合わせがない段階)で、該当する障害種別の障害学生を受け入れることを決定している状態を指している。

受験可否未定の大学にその理由を尋ねたところ、どの障害種別でも「事前協議後に対応を検討するから」がもっとも多かった。以下、「統一した見解がまとまっていない」「設備に問題」「試験のノウハウなし」が続いている。そのほか、「合格しても受け入れられない」のような事実上の受験不可ともいえる回答が、視覚で4校、聴覚で2校、肢体で2校、発達で2校みられた。

発達障害の受験時条件としては、「新設備設置・購入なし」が10校、「試験変更なし」が8校、「誓約書の提出」が2校となっている。「入学後の補助者関与なし」も3校あった。

受験時の配慮については、視覚障害・聴覚障害・肢体障害・発達障害で前回調査からほとんど変化はみられない。精神障害では「配慮あり」が2ポイント増加したものの、内部障害については「配慮あり」が2ポイント減少した。そのほか知的障害では、今回の調査から「配慮あり」の回答とともに、試験時間・試験室・出題方法・解答方法などの詳細についての選択が必須となっている。そのうえで知的障害への「配慮あり」という回答は203校(53%)で、他の障害に比べてまだ少ない状況といえる。

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