中須翔真と岸部一徳の世代を超えた友情物語「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」に木村多江、森永悠希も出演

NHK総合では、8月に特集ドラマ「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」(日時未定)を放送。中須翔真、岸部一徳木村多江森永悠希が出演することが発表された。

「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」の原作は、椰月美智子氏による、第69回小学館児童出版文化賞を受賞した同名小説。スケボー好きの少年・小沢拓人(中須)が、神社の管理人をしている老人“田中さん”(岸部)と交流を深めていく中で、少年は田中さんの戦争体験を聞き…。小学6年生と81歳との友情を描く、ハートウォーミングな物語だ。脚本を同局の「あなたのブツが、ここに」、連続テレビ小説「ブギウギ」などを手掛ける櫻井剛氏が務める。

中須演じる拓人は、スケボーが好きな小学6年生。習っていたサッカーも塾も途中で辞めてしまい、中途半端な自分を気にしている。骨折した田中さんの世話をすることになり、田中さんとの交流を深めていく。

中須は、「僕の演じる拓人は、友だちとスケボーで遊ぶのが好きで、勉強はちょっと苦手だけど、心の優しい“ええヤツ”です。拓人は世代の離れた田中さんと出会って少しずつ成長していきます。僕も、このドラマでそんな拓人と出会って、自分も素直なええヤツでありたいと思いました」と役柄への思いに触れ、「このドラマを見てくださった皆さまが、拓人の成長を感じて、そして、戦争についてあらためて考えるきっかけになるように、心を込めて拓人を演じたいと思います」と戦争について考えるきっかけを提供したいと語る。

岸部が務める田中喜市は神社の管理人。拓人のスケボーに興味を持ち、乗ってみようとしたところ転んで骨折する。身の回りの世話をしに来た拓人たちを優しく迎える。

岸部は「『僕は戦争には反対です』。私がドラマで演じた田中喜市の心の叫びの言葉です。あらためてその言葉の重さに気付かされました。戦争は過去だけのものではなく今も世界のどこかで続いています。このドラマに登場する3人の少年は未来への希望かもしれません、そして3人の存在は今の大人たちの良心にも思えました。この作品に出合えたことを感謝します」と作品を通して感じた思いを伝える。

また、木村が扮(ふん)するのは、拓人の母で、花屋で働いている小沢尚美。骨折した田中さんの世話をするように拓人に言う。

木村は、「原作も、このドラマの脚本も胸が温かくなって読むたびに泣いてしまうとても優しい物語です。そんな温かい心を消し去るような、平和を破壊する悲しみがあってはならない。その思いを引き継いで、皆さまと共有できたらと思っています。たくさんの方々に見ていただきたい作品です」とアピールする。

そして、森永は拓人のクラス担任の先生・瀬下誠役を担当。ホームルームでクラスメイトにある提案をする拓人を見守る。

森永は、「お話をいただいた時に、『きっと時代物で、戦時下のことを描くのだろうな』と思っていましたが、台本を読ば現代劇で、更に子どもたちが中心の作品で…今までとは違う目線で戦争というものを扱った作品になると思いました。子どもたちのパワーに負けないように、少しでも力添えできたらいいなと思いながらお仕事できたら、と思います。幅広い世代に見ていただけましたら幸いです」と新たな視点から戦争を取り上げた作品であることを伝える。

椰月氏は、「近所に小さな神社があります。境内に小屋があり、おじいさんが一人で住んでいましたが、いつのまにか姿を見なくなり、今では空き家になっています。おじいさんはどんな人だったんだろう、どんな生い立ちでここに住むようになったんだろう。そんな思いから田中さんが生まれました」と作品誕生のきっかけを明かし、「その田中さんが、まさかドラマに登場するなんて。喜びでいっぱいです。原作とは少し設定が異なりますが、小説で伝えたかったことはしっかりとくみ取っていただいております。田中さんと拓人の友情、そして戦争の傷跡。見終わった後、やさしい気持ちになってもらえるといいなあと思います。楽しみです」とドラマ化への喜びと期待を口にする。

櫻井氏は、「できることなら残酷で恐ろしい戦争については触れずにいたいと思いがちで、僕は考えることを先送りして、宿題にして引き出しの奥にずっとしまい込んでいる。でもこの原作には日々の何を大切にすれば戦争を回避することができるのか、宿題のヒントが書かれてあった。それはとても当たり前過ぎて、気付くまでに時間が掛かってしまったけど、考えて向き合って、なんとか脚本に起こすことができたと思う。日々と人を思うこと。言葉にすると退屈だけど、何より大切な思いが詰まった作品です」と原作と向き合いながら脚本制作に臨んだことを明かす。

音楽を担当した小山絵里奈氏は、「私事ではありますが、地元大阪でスケボー少女期を過ごし、息子は登場人物の少年たちと同年ということもあり、とても身近に感じた原作との出合いに感謝しています。戦争は、過去のものでも私達の日常と離れた場所にあるものでもなく、戦争とは、国を挙げ国民を巻き込み、後戻りできない世界へ人々を怒涛(どとう)のごとく流し込んでいく恐怖であることを。戦争とは、多くの犠牲者を生む悲劇でしかないということを。今、私達は伝えていかなければなりません。戦争によって深く傷ついた魂が癒えること、決して過ちを繰り返さぬよう、この物語が音楽と共にみなさまのもとへ、届きますように」とメッセージを寄せている。

小沢拓人(中須)はスケボーが大好きな小学6年生。ある日、いつも遊んでいる公園がスケボー禁止となり、友人2人と近くの神社でスケボーをすることに。そこで、神社の管理人をしている81歳の田中喜市(岸部)と出会う。田中は拓人のスケボーに興味を持ち、試しに乗ろうとしたところ、転んでしまい右手を骨折してしまう。拓人の母親・尚美(木村)は、田中の右手のギプスが取れるまで、拓人たち3人で身の回りの世話をするように言う。

拓人たちが田中の部屋に通い出すと、聞き上手で優しい田中にひかれ、自然と仲良くなっていった。拓人は学校で起こったこと、身の回りのこと、日常の不満などを素直に話すことができた。ある日、拓人は田中の部屋で自分と同い年くらいの少年が写った写真を見つける。写真について拓人が田中に尋ねると、それは昔の自分の写真だと言い、当時この地域で空襲に見舞われたということを話し始める。田中の戦争体験を聞いた拓人たちは、学校である提案をする。

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