トルコ艦遭難慰霊碑前で追悼 軍艦来訪に合わせ、和歌山県串本

慰霊碑前に献花される三笠宮彬子さま(和歌山県串本町樫野で)

 和歌山県串本町樫野のトルコ軍艦遭難慰霊碑前で10日、トルコの大使館や海軍による追悼式典があった。同町を訪問していたトルコ軍艦「クナルアダ」の乗組員らが参列し、日本とトルコの友好の原点となった遭難事故に思いをはせた。日本・トルコ協会総裁の三笠宮彬子さまも参列された。

 クナルアダは国交樹立100周年と同町樫野沖で発生したエルトゥールル号遭難事故から134年であることから訪日した。日本では同町が初めての訪問地で、8日から11日まで滞在。東京都や広島県にも寄港する。

 式典には在日トルコ大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使やトルコ海軍関係者、田嶋勝正町長、町議、紀伊大島の区長も出席した。

 海上自衛隊呉音楽隊が演奏する中、参列者全員で黙とうをささげ、両国の国歌を斉唱。コーランの詠唱や礼拝もあった。

 式典のあいさつで彬子さまは「今日に至るまで両国の結び付きをエルトゥールル号の乗組員の方々がご覧になったらご満足いただけるのではないかと感じている。日本とトルコの特別な100年、134年に思いを致し、多くの先人が築き上げた日ト友好の歴史がこれからも末永く紡ぎ続けられることを祈る」と述べた。

 ギュンゲン特命全権大使は、遭難事故で献身的に乗組員を救助した地元住民や親密な関係を保つ同町に感謝し「両国民は良いときも苦しいときも幾度となく絆を育み深めてきた。友情は簡単に築けるものではない。トルコと日本は真の友であり、友情の尊さを心に刻んでいる。歴史は私たちの道しるべ。この思いを後世に伝えていく」と語った。

 その後、多くの参列者が献花をしたり、海上自衛隊呉地方総監部儀仗(ぎじょう)隊が弔銃を発射したりして、事故で犠牲になった乗組員の冥福を祈った。

 また、地元の大島小学校の児童が伝統衣装に身をまとい追悼歌を斉唱した。

追悼歌を斉唱する大島小学校の児童(和歌山県串本町樫野で)
串本湾で停泊するトルコ軍艦「クナルアダ」(和歌山県串本町大島から撮影)

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