【イギリス総選挙2024】 スターマー労働党党首、保守党マニフェストを批判 「財源がない」

英最大野党・労働党党首のサー・キア・スターマーは11日、与党・保守党が発表した総選挙のマニフェスト(公約)について、「財源がない」計画だと批判した。

また、労働党のジェレミー・コービン前党首が2019年の前回選挙で掲げたマニフェストのように、財源の説明がなく、「すべてを手押し車に積み込む」ような公約だと述べた。

サー・キアはコービン氏の影の内閣で閣僚を務めていた。自身の政党を引き合いにだしての批判についてサー・キアは、「あれほどの大敗を喫したら、有権者ではなく、党の方を見て『変わらなければならない』と言うべきだ」と述べた。

保守党がこの日発表したマニフェストには、国民保険料の引き下げや数々の減税策、住宅問題への対策などが含まれている。

リシ・スーナク首相は、このマニフェストは「イギリス経済が本当に好転した」ことを示しており、これらの政策で「より多くのイギリスの成功体験」が保証されると述べた。

保守党の減税策に同調するかとの質問に対し、サー・キアは「資金源がない」と指摘。特に減収分の穴埋めについては、租税回避策だけで「少なくとも4件の計画」に資金を提供するとしていることを非難した。

そのうえで、政権与党となったあかつきに真っ先に実施する6項目の主要政策「最初のステップ」を、7月5日から実施できると話した。

また、労働党は増税はするが減税はしないと保守党が主張していることについて、「その主張は、課税額を過去70年で最高にした政党から出ているものだ」と一蹴。

労働党の計画には全て十分な財源があると強調したうえで、「保守党はコービン的なマニフェストを作った。必要なものを全て詰め込み、そのどれにも財源がない」と、コービン氏を引き合いに出して批判した。

2019年総選挙でコービン氏が掲げた労働党のマニフェストは、国民全員への無料ブロードバンドの提供やエネルギー企業と水道事業の国有化など、広範囲にわたる野心的なものだった。

影の内閣官房長官だったサー・キアは当時、このマニフェストを、「真の変革」と「国民のニーズに応える野心」を提供するものだと称賛していた。

かつて支持していたマニフェストを今になって攻撃するのかと尋ねられたサー・キアは、2019年の選挙での労働党の敗北が、党を「変える」よう自分に説得させたのだと説明した。

英財政研究所(IFS)のポール・ジョンソン所長は、保守党のマニフェストについて、「不透明かつ不特定で、一見、犠牲者のいない削減」だと疑問を呈した。

IFSは今年3月、次の選挙後に必要となる支出削減や増税について、労働党と保守党の双方が「沈黙の共謀」をおこなっていると非難している。

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