【フランス暮らし】子どもも一個人として接するフランスの子育て文化

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フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。


フランス人は自分の趣味を諦めない

みなさん、いかがお過ごしでしょうか? フランスの地方都市、ナント在住の大畑典子です。
私は2019年に息子を、2022年に長女をフランスで出産しました。初めての育児をフランスですることになり、時に大変なこともありますが、現在はお母さん6年目、夫婦一緒になんとか頑張って過ごしております。

ということで、今日はフランスの子育てについてお話しします。
自分が子育てをする側になって初めて、まわりの子育て世代が目に留まるようになりました。そこで気づいたのは、フランスでは大人が子どもに合わせて生活をしているというよりも、大人の「好き」を子どもと共有している人が多い、ということでした。

例えば、自身の趣味がジョギングだった場合、子どもが小さくても一緒にその時間を楽しむ人がいます。子どもは自転車に乗って伴走したり、もっと小さい子どもの場合、“ジョギング用ベビーカー”に子どもを入れて一緒にジョギングをする人をよく見かけるのです。

△登山用ベビーキャリーで11ヶ月の長女を背負ってピレネー山脈をハイキング。

独身時代からの趣味を子どもが出来たことによって諦めるのではなく、自身の楽しみを子どもと一緒に共有しているのです。
もちろんフランス各地には子ども向けのレジャー施設もありますが、私が住む人口60万人規模のナントではそこまで充実していないので、普段の休日はとてもシンプルに過ごす家庭が多いです。ちなみに、フランス家庭のよくある休日の過ごし方はこのような感じです。

午前:朝はゆっくり起きてマルシェで買い物
昼食:自宅で時間をかけてゆっくり楽しむ
午後:昼寝
夕方:近所を散歩
夜:夕食のあとは家族でボードゲーム

一見つまらなさそうな休日ですが、こうしたシンプルで素朴な休日を好むフランス人はたくさんいます。逆に予定を詰め込みすぎて疲れてしまう休日は好まれません。
フランスではこのようなシンプルな過ごし方が日常であり、そんな休日を大人が楽しんでいる姿をみて子どもは育っていくのです。

△食後に家族みんなでボードゲームを楽しむ様子。

また、フランス人は夏のバカンスをおよそ2週間取得しますが、全ての日程を子どものためのレジャー施設に充てるということはありません。もちろん、親自身もその夏休みを楽しむわけですから、旅行先を選ぶにも大人も楽しめる場所でなければいけないのです。

私たち家族は毎年のバカンスは地中海沿いの街かピレネー山脈に行くことが多いです。子ども達に楽しんでほしいという気持ちもありますが、何より親の私たちがその場所にいってリフレッシュしたいからです。
山をハイキングする際には登山用ベビーキャリーといって、20kgぐらいまでの子どもを背負える専用のリュックサックがあるので、子どもが小さいうちは登山用ベビーキャリーで子どもと一緒にたくさんのハイキングを楽しみました。息子の体力がついてからは、半日ほどのハイキングを一緒に楽しんでいます。

子ども扱いせずに一個人として接するフランス文化

また、フランスに来てびっくりしたことの一つが、レストランなどの場で子ども自身が店員を呼び止めて直接何かをお願いしている光景をよく見かけることです。日本だと、例えば子どもが追加でケチャップ等が欲しい場合、親に頼んで、それから親が定員に頼む、ということがほとんどだと思います。しかし、フランスでは小さい子でも直接他の大人に話しかけてお願いや交渉する子を見かけることが多いです。

この背景には、フランスでの子育ては小さい頃から「子ども扱いしない」ということがあります。フランスでは、子どもと接する時に子ども扱いするような言葉使いは避けられる傾向にあり、子どもでも一個人として接している家庭が多いです。
フランスに住んで感じるのは、接し方に関して大人と子どもの境界が日本ほどはっきりしてなく、小さい頃から一個人として出来るだけ対等に扱うことで、自分の意見をきちんと言語化して相手に伝えることができるようになっていくのだと感じます。

ということで、今日はフランスの子育てについての気づきをお話しさせていただきました。
では、また次回。アビアント〜!

*次回は6月26日(水)更新予定です。

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