外貨準備のユーロ比率、23年は20%に低下 ドル・円上昇=ECB

[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は12日公表した報告書で、2023年の外貨準備に占めるユーロの比率が20%と、1%ポイント低下したと発表した。

公的な外貨準備管理機関は約1000億ユーロのユーロ資産を売り越したという。「対照的にドル、円、他の非伝統的な準備通貨の比率が上昇した」とし、「特に公的投資家による円建て準備資産の購入が見られたが、これは円安を相殺する狙いがあったと思われる」と分析した。

スイス国立銀行(中銀)のユーロ建て準備高が350億ユーロ減少したとし、スイスフランを支援するための中銀による介入が主な理由との見方を示した。

ECBは中銀91行を調査したHSBCのリポートに言及し、欧州連合(EU)の金融構造と見通しはいずれも懸念要因だと指摘。「回答者はユーロ圏の成長見通しの弱さ、高格付け資産の供給不足、中央集権的な債務発行をユーロ建て資産への投資を妨げる潜在的な要因に挙げた」と述べた。

またロシアがユーロの保有量を自由に削減できるようになれば、外貨準備におけるユーロの割合がさらに低下する可能性があるとした。

ロシア中銀は22年に資産凍結される前に外貨準備の約8%をユーロで保有していたとし、「このことは制裁関連措置が今後、世界の外貨準備に占めるユーロの割合に関係してくる可能性を示唆している」と指摘した。

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