オズワルド、ミルクボーイ……『M-1』1回戦敗退を経験したファイナリストたち

「1回戦落ちてたん? こんくらい売れるやつって、1回戦落ちるやつっておらんやんか」

千鳥・大悟があきれ顔で語りかけた。

11日に放送された『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)は、お笑いコンビ・オズワルドを迎えてゲストトーク。そのプロフィールを振り返る中で、オズワルドが『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の1回戦で敗退していた過去が明かされた。

伊藤俊介が、何気なくコンビの歴史について語っていた場面。オズワルドはかつてボケが伊藤、ツッコミが畠中悠という編成だったが、2016年に『M-1』1回戦で敗退した際に、先輩であるダンビラムーチョ・原田フニャオにアドバイスを受け、現在の畠中ボケ、伊藤ツッコミに変更したのだという。

19年から22年まで、敗者復活を含めて4年連続で『M-1』ファイナルに進出しているオズワルド。伊藤は今や数々の番組でMCを務める売れっ子となっている。そんなオズワルドがかつて『M-1』1回戦で苦杯をなめていたという事実は確かに意外だが、『M-1』ファイナリストの中で1回戦敗退を経験しているコンビは決して少なくない。

昨年、初のファイナル進出を果たしたくらげも18年に1回戦敗退を経験。翌年には結成2年目で準決勝に進出し、注目を集めている。同じく22年ファイナリストのヨネダ2000も、話題を呼んだ21年の準決勝進出の前年に1回戦で敗退している。

また、現在でも史上最高の大会との呼び声も高い19年大会で優勝したミルクボーイも1回戦敗退組。07年と08年の二度にわたって1回戦で散っている。同19年に3位に入り、「人を傷つけない笑い」のムーブメントを起こしたぺこぱも1年目だった08年に1回戦で敗退している。

さらに、15年から19年に5年連続でファイナルに進出し、15年以降の新『M-1』の象徴的存在だった和牛も1年目の06年に、10年、15年、17年、18年と4度のファイナル経験者であるジャルジャルもNSC時代の02年に1回戦で涙をのんでいる。

そのほか、21年に彗星のごとく現れたもも、18年のトム・ブラウンとギャロップも過去に1回戦敗退の経験がある。

15年にファイナルに進出した後、22年に1回戦敗退を喫した馬鹿よ貴方はは別としても、「1回戦敗退」から飛躍を果たしたコンビは意外に多いのが現実なのだ。

だから1回戦落ちのコンビにも夢がある、といえばいかにも安易だが、売れっ子たちが最初からエリートだったわけではないという証左ではあるだろう。

さらにいえば、当の大悟や『M-1』11回出場で10回準決勝に進み17年に王者となったとろサーモン・久保田かずのぶは、『M-1』1回戦よりさらに難易度の低いNSC(吉本総合芸能学院)の入試に落ちた経験があるのはよく知られたところだ。

過去に『M-1』で、前年1回戦敗退から翌年にファイナルに進んだコンビは存在しない。1年間でのジャンプアップとしては、02年の笑い飯と16年のカミナリが前年2回戦敗退からファイナリストになったのが最高の記録である。

今年も、夏にはまた『M-1』の1回戦が始まる。新たなドラマが生まれることを期待したい。

(文=新越谷ノリヲ)

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