【後編】「お金が貯まらない人」の10の習慣とは? ファイナンシャルプランナー・深田晶恵さんがアドバイス

金額の大小にかかわらず、自分が幸せになれるなら、それはムダ金にあらずとしましょう。でも、「なぜか、お金が貯まらない」という人たちには、その性格や行動習慣に共通点があるようです。そこで、お金と上手につき合うヒントをファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに伺いました。

↓↓前編はこちら。

PROFILE
ファイナンシャルプランナー 深田晶恵さん

ふかた・あきえ●株式会社生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。ファイナンシャルプランナーとしてコンサルティングを行う他、メディア出演、講演活動、新聞や雑誌などのコラムも人気。
著書に『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』(講談社)など。

身に覚えはありませんか?「貯まらない」のはこんな人!

雑誌「ゆうゆう」読者の皆さんに、お金が貯まらない理由を伺い、10の「あるある」習慣に分類してみました。その悪習(!?)を絶ち、ムダ金遣いを抑えるためにどうしたらいいか、深田晶恵さんがアドバイス(あるある習慣①〜⑤は前編で紹介しています)。

あるある⑥ 形から入るタイプ。まず、「必要そう」なものをそろえてしまう

⚫︎災害に備えて非常食を買い込んでいますが、先日賞味期限を迎えました。家族4人分のレトルトご飯やおかず、大量の水、乾パンなど。非常時ならいいけれど、これを普通の食事にする気にはなれずほぼ廃棄処分。なんて、もったいない!(YU子さん・57歳)

⚫︎部屋の片づけを思い立ったら、まず100円ショップで収納グッズを買い集めます。でも、ものを捨てると収納グッズが余るんですよね。旅行に行くときは便利なパッキングアイテムをいろいろ購入。でも、使い捨てが多いです。(KMさん・54歳)

あるある⑦ 断るのが苦手で、雰囲気に流されてしまう

⚫︎もう30年来のつき合いのママ友4人で年に1回、2泊3日で旅行に行きます。「京都の紅葉」「ハウステンボスのイルミネーション」など、いつもけっこうな出費です。夫が現役で働いているときはよかったのですが、年金生活になっても続いています。ランチや観劇なども誘われると断りにくい……。(りえさん・70歳)

⚫︎洋服が好きなのでつい試着してしまいます。店員さんに「お似合いですよ」と言われると、「なんかイマイチだな」と思っても「まあいいか」と買ってしまいます。でも、わかっているんです、そう思って買った服は値札がついたまま放置されちゃうことを。クローゼットはパンパンなのに着る服がない現状をどうしたらいいの?(こーちゃん・60歳)

⚫︎顔なじみのセレクトショップの店長さんとのおしゃべりが楽しくて月に2、3回訪問。服や小物をすすめられると断れず「来月は何も買わないから今月だけは許して」と買ってしまい予算オーバーに。結局、毎月、服や小物を買ってしまい貯金ができません。(K子さん・59歳)

あるある⑧ 子や孫のためなら多少の出費は惜しくない

⚫︎同居している20代の娘は家に生活費を入れることもなく、稼いだお金を全部自分の服や食事に使っています。貯蓄もほとんどしていないようです。外食すれば当たり前のように私がお金を払うことに。まさにパラサイトシングル。でも今さら「自分の分は自分で」と言いにくいのです。(ぴーさん・61歳)

⚫︎子どもが3人、孫は合わせて6人、配偶者も入れると12人になるのですが、外食すると「ここはおばあちゃんに任せて!」と言ってしまいます。年に数回だし、みんなに声をかけたのは私だし……と思って笑顔で支払うのですが、正直いえば年金暮らしには厳しい金額。孫の成長に伴ってお祝いごとも増えるし、今後が不安です。(ばあばあちゃん・69歳)

⚫︎7人の孫に毎年、お年玉をあげています。社会人も何人かいますが、渡す子と渡さない子がいるとかわいそうな気がして全員にあげています。(富士山のバアバさん・74歳)

【深田さんのアドバイス】失敗してもいいんです。その経験を次に生かそう

あるある習慣⑥のように「形を整えるために、ものを買う」という人も少なくない。防災セットでは、深田さんも似た経験をしている。

「東日本大震災のあとに防災食セットをまとめ買いしましたが、10年で賞味期限が切れて全部捨てました。罪悪感が強かったので、その後は自分の好きなレトルト食品をストックし、食べたら買い足すようにしています。失敗を踏まえて、自分にとってベストな方法を考えることが大切だと思います」

断れないから出費が増えるという⑦については、「それは言い訳です」とズバリ。

「断れないんじゃなくて、洋服が好き、お金を使うのが好きなのよね? 値札を確認して、電卓をたたいて、自分がゾッとして、お店に行く回数を減らしましょう。友達づき合いがあるなら、『体調が悪くて旅行は無理』と一度断ってみては? ウソも方便です。面倒に思っている人は他にもいるかもしれませんよ」

子や孫にお金を使いすぎている⑧の習慣。深田さんはこれを「家庭内見栄症候群」とネーミングする。

「いつまでも頼られる親でいたいのかもしれませんが、それは無理です。同居の子どもには毎月5万~6万円の生活費を入れさせ、イヤなら独立してもらいましょう。お年玉は学年に応じて金額を決め、20歳で終了にしては。食事会も、このまま10年続けたら貯蓄がいくら減りますか? 親がお金を出し続ければ、子どもは当然のように出さなくなるもの。愛情はお金で示すものではなく、行動や言葉で伝わるものだと思います」

あるある⑨ 月にいくら使っているか、支出を把握していない

⚫︎子どもたちが独立し夫婦2人になって、もうそんなにお金はかからないからと、家計簿をつけるのをやめました。(山田さん・62歳)

⚫︎クレジットカードの明細を久々に確認したところ、身に覚えのない引き落としが! 調べると3年前に最初の1カ月が無料で登録していた音楽系のサブスクでした。一度も聞いたことがないのにお金だけ毎月880円払い続けてきたことが悔しい。しかも、解約しようにも方法がよくわからなくて……。(Jさん・58歳)

⚫︎電車に乗るのも、コンビニや駅ビルでの買い物もほとんど電子マネーを使用。しかもオートチャージなので「いつもお金持ち」気分です。料金はクレジットカードから引かれています。明細は、紙ではなくネットで見るのですが、IDと暗証番号を暗記していないので、めったに見ることもなく……。現実を知るのが恐ろしいです。(サチコさん・55歳)

あるある⑩ 夫婦間の連携がうまくいっていない

⚫︎家計は夫が管理していて、毎月生活費だけ渡されています。預貯金がいくらあるのか知らなかったのですが、あるとき、夫が散財していて、わが家にはほとんど老後資産がないことがわかって大ショック。(Wさん・57歳)

⚫︎夫婦共働きで、生活費(食費は妻、その他水道・光熱費などは夫)は夫婦共通の口座に入れていますが、その他は各自の口座で管理しています。夫の収入も貯蓄額も知りません。自分の口座のお金はお小遣い気分で使ってしまい、なかなか増えません。(YOUさん・58歳)

【深田さんのアドバイス】「内緒と不干渉」夫婦にはお金が貯まりません

自分のお金なのに、収支から目をそらしている人も少なくない。⑨や⑩の習慣はまさにそれ。

「現実から目をそらし続けていられるうちはいいけれど、ある日突然ガーンとショックを受けることになります。その前にちゃんと確認しなくては。細かく家計簿をつけるのは面倒でも、ある程度の予算を決めてその中で暮らす努力は必要です」

マチュア世代こそ、夫婦の連携が今まで以上に重要だと言う。

「お金が貯まらないのは『内緒と不干渉』が原因です。定年などで生活が変わるタイミングで、夫婦で話し合いましょう」

取材・文/神 素子

※この記事は「ゆうゆう」2023年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※2023年11月26日に配信した記事を再編集しています。


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