米、対ロ制裁強化 中国など第三国含む300個人・団体対象に

David Lawder

[ワシントン/モスクワ 12日 ロイター] - 米財務省は12日、ウクライナに侵攻するロシアの軍事生産に必要な製品やサービスの遮断を目的とした新たな制裁措置を発表した。中国などの第三国を含む300を超える個人や団体を対象とした。

制裁の対象には中国の電子機器サプライヤー数十社のほか、中東、アフリカ、欧州、カリブ海諸国のサプライヤーなど第三国の企業や団体が含まれる。

財務省はまた、「ロシアの戦争経済と取引する外国金融機関への二次的制裁のリスク」を高めるとし、これらの機関は米金融システムへのアクセスを失う恐れがあると警告した。

ロシア政府系のVTB銀行やズベルバンクなど、これまで対象としていたロシアの銀行に対する制裁を修正し、中国、インド、香港、キルギスタンなどの支店や子会社も対象に含めた。

また商務省は、ロシアに半導体を違法に輸出している中国企業に対する取り締まりを強化し、企業名ではなく香港にある具体的な住所を貿易制限リストに追加。社名変更や、ダミー会社を通した取引による制裁逃れに対応する。

商務省当局者によると、この措置により約1億ドルの品目が影響を受ける。

ロシアが他国から輸入できない品目リストに、米国内で製造された製品だけでなく、米国の知的財産や技術を使って作られた米国ブランドの製品も含めるという。

ウクライナ当局者によると、戦場から回収されたドローン(無人機)や無線機、ミサイル、装甲車といったロシアの装備品に米国製チップなどの技術が使用されていることが分かっている。

イエレン財務長官は「今回の措置は、第三国からの供給に依存する重要品目を含め、海外の素材や機器の調達に残された手段を標的にするものだ」と説明した。

財務省はまた、モスクワ証券取引所を含むロシアの主要金融インフラにも制裁を科す。

同省高官はモスクワ証券取引所と関連子会社が制裁逃れを助長してきたと指摘。制裁を科すことで国境を越えた取引の透明性を高め、制裁逃れを困難にすると述べた。

米国が新たな制裁措置を発表したことを受け、モスクワ証券取引所はドル建てとユーロ建ての取引を停止した。

ロシア中央銀行は「米国がモスクワ取引所グループに対し制限措置を導入したため、ドルとユーロ建ての受け渡し証券の取引と決済が停止された」と表明。ただ、ドルとユーロの銀行預金は安全だとした。

ホワイトハウスの国際経済担当を務めたピーター・ハレル氏は、今回の制裁措置を「パラダイムシフト」と指摘。ロシア主要行と取引する外国銀行が米金融システムから切り離されるリスクにさらされるためだとし、「米国は初めてロシアに対する世界的な金融禁止措置を講じるような動きにシフトしている」と語った。

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