山内惠介が、新曲『紅の蝶』の新装盤をリリース 「この曲を大切に育てていって、紅白の舞台で舞い踊らせてあげたいと思っています」

来年にデビュー25周年を控えた山内惠介が、大ヒット中の新曲『紅の蝶』のジャケット写真とカップリング曲を新たにしたシングル2タイプをリリースする。表題曲はジャズやクラシック、ラテン、そしてジャポニズムとあらゆる音楽や国籍を超越した躍動感あふれるナンバー。新境地を開いた前作『こころ万華鏡』に続き、演歌・歌謡曲を山内惠介流にアップデートし、新たな代表曲への期待も高まる。カップリングにはJ-POPのヒットメーカー・いしわたり淳治が山内作品初参加。また美空ひばりの隠れた名曲のカバーも収録される。インタビューではバラエティに富んだ楽曲群に込めた思いから、山内惠介流の”幸福論”まで語ってもらった。


演歌には浮世を忘れさせる力がある

──大ヒット中の新曲『紅の蝶』を携えて全国ツアー、北海道ツアーと回られました。とてもステージ映えのする楽曲ですが、お客さまの反響はいかがでしたか?

何より感動したのは、会場が紅色に染まっていたことです。特にこちらからお願いしたわけではないのですが、紅色のものを身に付けて来場してくださったお客さまがとても多くて。あるいは蝶のコサージュとか。『紅の蝶』という楽曲でこんなにも会場が一つになれるんだと、改めて(作詞の)松井五郎先生ってすごいなあと思いました。いかにお客さまが楽曲の世界観に酔いしれることができるか、とことん考えてこの『紅の蝶』というモチーフをお作りになったわけですから、僕たちはみんな松井先生の手のひらの上です(笑)。

──蝶の舞う姿を表現した手の振りも印象的です。覚えてこられたお客さまも多かったのでは?

はい。振り付けは金谷かほり先生が担当してくださいました。今や世界的な演出家ですが、キャリアのスタートは東京ディズニーランドのキャストだったそうで、お客さまを巻き込む力はさすがだと思いました。テーマパークって帰りの電車の中まで、その日1日の余韻が続くようでいいですよね。僕のコンサートもそうありたいと思ってやってきましたが、昨年の『こころ万華鏡』と『紅の蝶』によってその目標に一歩近づけたんじゃないかと感じています。演歌は現実を生きる人々を映し出すジャンルだと言われますが、一方で浮世を忘れさせてくれる力もあると思うんですよね。

──ミュージックビデオ(MV)の再生も伸びています。躍動的なダンスに山内さんの艶やかでミステリアスな表情、妖しい世界観は何度でも見たくなる映像です。

ダンサーの皆さんが若くて、しかもすごくやる気がみなぎっているんですよ。僕も40を過ぎましたので少々ジェネレーションギャップを感じつつ(笑)、そんなみなさんと一緒にものづくりできてエネルギーをいただきました。

──和服を基調としたオリエンタルな衣装も、多国籍感ただよう楽曲のムードにぴったりだと思いました。

今回も『こころ万華鏡』と同じデザイナーさんが細部にまでこだわって作ってくださいました。モチーフが蝶であの振り付けですから、(『魅せられて』のときの)ジュディ・オングさんの黒バージョンと言いますか(笑)。このあいだ松井先生が『今の山内くんはすべてのピースがバシッとハマっている』とおっしゃってくださったんです。楽曲も衣装も振り付けもMVも、トータルで一つのエンターテインメントになっていると。そのお言葉がすごくうれしかったのと同時に、それだけ多くの方の力を借りている以上は、最大限に輝かせなければと身が引き締まる思いでした。

大切なのは普通の日常を生きる方たちの思い

──『紅の蝶』2アイテムが追加でリリースされたうち、海盤のカップリング『海、光る』の作詞は、山内さんの楽曲には初参加のいしわたり淳治さん。J-POPのヒットメーカーとの初仕事はいかがでしたか?

いしわたり先生は元SUPERCARのギタリストでロックバンド出身ですし、まさか先生の歌詞を歌う日が来るとは思っていませんでした。それだけではなくて『海、光る』は『紅の蝶』と同じく村松崇継先生が作曲してくださったのですが、もともと僕が村松先生のメロディを好きになったきっかけが手嶌葵さんの『ただいま』という楽曲なんです。その『ただいま』を作詞されているのがいしわたり先生。いわば僕が“こういう世界”に飛び込んでみたいと思うきっかけとなった2人の先生がタッグを組んでくださったわけで、僕にとっては夢のような1曲になりました。

――‟こういう世界”とは?

昭和の時代には“流行歌”という言葉がありましたよね。ジャンルを超えて大衆に愛される楽曲と言うんでしょうか。僕は演歌・歌謡曲というジャンルを大切にしてきましたが、できればそれを超えて“流行歌”と呼ばれるような歌を残したいと思っています。そして村松先生、いしわたり先生の楽曲には確実にその力があります。だけど、その楽曲を表現する歌手自身が“大衆”に愛されなければ、楽曲の力は生きないんですよね。そのような意味でも歌を磨くだけでなく、普通の日常を生きる方たちの思いに寄り添うことがどれだけ大切かということを、いしわたり先生や村松先生のお作りになった数々のヒット曲に教えていただきました。

――芸能界という華やかな世界の中だけで自分を完結させてしまわないことが大切だということでしょうか?

そうですね。だから僕、大衆酒場が好きなんですよ。隣に座った方々がどんなお話をされているのかなって、耳をすませて聞くのが。あと移動も車だけでなく、なるべく電車を使うようにしています。ただ、東京の地下鉄ってけっこう深いんですよね。僕も40過ぎましたし、ゼエゼエ言いながら階段を上り下りしています(笑)

――『海、光る』のリリースには「人生の機微を『航海』というテーマを通して描き、荒波を超えて船を進めていく覚悟を表現した楽曲」とありますが、山内さんはこの曲でどんなことを伝えたいと思っていますか。

この楽曲は、歌詞には直接出てきませんが、東日本大震災のことが下敷きになっているといしわたり先生はおっしゃっていました。あれからもう13年ですが、決して忘れてはいけませんし、他人事にしてもいけない事柄だと思います。例え違う土地に生きていても僕たちはみんな運命共同体なんだということを『海、光る』を通して改めて伝えられたらと思いながら歌っています。

今、『太鼓』のカバーを歌う理由

──一方、太鼓盤のカップリング『太鼓』は美空ひばりさんのカバー。能登を舞台とした力強く躍動感あふれる楽曲です。この楽曲をチョイスしたのは、やはり能登半島地震が起こった今だから歌うべきだというお気持ちからだったのでしょうか。

僕は小学生の頃からこの曲が大好きだったんです。もともとアルバムの中の曲で、いわゆるメガヒット曲ではないのですが、「♪ドンスクスクドン、ドンストトトドン」というリズミカルな歌詞がとにかく印象的で、VHSが擦り切れるんじゃないかというくらい何度も何度もこの楽曲を映像で観て聴いていました。数年前に能登から放送された『NHKのど自慢』にゲストで呼んでいただいたときには、御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)の演奏も聴かせていただきました。子どもの頃にひばりさんの歌を聴きながら想像していた能登のイメージがよみがえってきて、改めて能登という土地が大好きになったんです。だからよけいに、なんでこんなことになってしまったんだろうという悲しさや悔しさでいっぱいになってしまって……。その本当の苦しみは、能登に暮らす方々にしかわからないのかもしれませんが、それでも僕の中でその思いを消化するには、この歌を歌うしかなかったんです。

──震災はその土地に暮らす方々にとどまらず、日本中の人々の心を痛めますね。

そうですよね。『太鼓』をカバーできたこと自体はうれしいですし、(作詞・作曲の)小椋佳先生も喜んでくださっていると聞きました。シングルに収録するきっかけがこんな出来事だったのは複雑な思いもありますが、聴いてくださる皆さんが能登に思いを寄せたり、その土地で暮らす方々との絆が深まったりできるように、命をかけて歌うのが歌手の役割だと思っています。

──今回の注目の一つはやはり『こころ万華鏡』に続いて表題曲を手掛けられた村松崇継先生の存在です。先ほど“村松メロディ”との出会いを明かしてくださいましたが、年齢も近いですし、お仕事を重ねられてどのような交流が生まれていますか?

村松先生は、コンサートに足を運んでくださると、必ず打ち上げにも参加してくださいます。そういう席だと仕事とは関係ない話もできますし、それでお互い共通点が多いことがわかったんです。2人とも上沼恵美子さんのYouTubeのファンだということとか(笑)、好きなものと嫌いなものが似ている。なかでも共感したのが、『幸せじゃないほうが仕事は充実しますよね』ということ。満たされちゃうとダメなんです。だからお互い独身なのかなって(苦笑)。

──山内さんは十分、幸せそうにみえますが(笑)。

僕も村松先生も音楽を生業にできていること自体は幸せなんです。幸せの優先順位は音楽が一番ですし、音楽でもっと幸せになりたいと追求を続けている。ただ、そうすると時間は有限ですから、それ以外の幸せを得ようとするのはなかなか難しくなりますよね、というのが僕と村松先生の共通見解です。

──ファンとしては嬉しいような複雑なような……。ところで最近プライベートではどのように過ごしていますか?

オフの日は耳鼻咽喉科通いですね(笑)。特に調子が悪くなくても喉をチェックしてもらうのが、僕の中でお守りのようになっています。あとはCD棚を整理しています。職業柄どうしてもCDが増える一方なので、聴きたいときにいつでも見つけられるように綺麗にしておきたいんです。僕もサブスクを解禁していますが、やっぱりCDは音がいい。そしてCDを聴いていると、その歌ごとにその歌い手が歌う意味ってやっぱりあるんだなとわかるんですよ。大衆歌謡って誰が歌っていても楽しいものですが、歌手を生業にしている以上は、『あなたの代わりはいない』という存在を目指さなければいけないなと、最近はいろいろなCDを聴きながら改めて強く思うようになりました。

歌にはスポットライトが当たるタイミングがある

──来年のデビュー25周年が目前です。今年後半はどのように駆け抜けるのでしょうか。

実は今年『紅の蝶』で久しぶりにキャンペーンをやったんですよ。照明もなく、お客さまの表情もしっかり見えるところで歌を聴いていただいて、CDを1枚1枚買っていただく…やっぱりこういった場所を大切にしなくてはダメだと思いましたし、今はそこにもう一歩成長できるチャンスがあるのではないかと感じています。もちろんコンサートもディナーショーも大切ですが、今年後半は、フリースペースでのイベントはぜひやりたいと思っています。

──紅白歌合戦への10回連続出場も期待しています。

もちろん出たいです。デビューから15年かかって出場が決まったときの喜びは忘れてはいませんし、できれば(出場回数)二桁行きたいですよね(笑)。そしてやっぱり『紅の蝶』を歌いたいです。歌にはスポットライトが当たるタイミングがあるんですよ。例えば『恋する街角』はリリースから10年以上経って紅白に選ばれましたし、それから3回も歌わせていただくことになりました。そんな展開なんて最初は思ってもみませんでしたから。『紅の蝶』も皆さんと一緒に大切に育てていって、紅白のステージで舞い踊らせてあげたいですね。今年の合言葉は『ほれ!』でいきたいです。

──祝祭感あふれる『紅の蝶』は紅白のステージ映えしそうですし、ジャポニズムな世界観は海外の方にも楽しんでもらえるポテンシャルを感じます。羽田空港で行った発売記念イベントでは、海外ツアーを目標に掲げられていましたね。

いつか実現したいですね。それこそ『紅の蝶』って現代の日本とはちょっと違う、海外の方が憧れる日本のファンタジーの雰囲気があるじゃないですか。妖しげな灯籠の灯りの中、花魁道中が行くみたいな。この世界観をそのままに、英語や韓国語でパフォーマンスしても面白いんじゃないかと思うんです。とにかく今年は攻めの姿勢といいますか、これまでやったことのないことに果敢に挑戦していきたいと思っています。

──では最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

いつも山内惠介を応援してくださってありがとうございます。みなさんの毎日が『紅の蝶』によって華やかに彩られるよう、願いを込めて歌っています。みなさんと一緒に最高の25周年が迎えられるよう、今年後半も頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

山内惠介『紅の蝶』ミュージックビデオ

山内惠介『紅の蝶』

2024年6月12日(水)発売
価格:¥1,500(税込)

海盤

品番:VICL-37736

【収録曲】

1.紅の蝶(作詞:松井五郎/作曲・編曲:村松崇継)
2.海、光る(作詞:いしわたり淳治/作・編曲:村松崇継)
3.紅の蝶(オリジナル・カラオケ)
4.海、光る(オリジナル・カラオケ)

太鼓盤

品番:VICL-37737

【収録曲】

1.紅の蝶
2.太鼓(作詞・作曲:小椋佳/編曲:上杉洋史)
3.紅の蝶(オリジナル・カラオケ)
4.太鼓(オリジナル・カラオケ)

山内惠介 オーケストラコンサート

出演:山内惠介
指揮:横山奏

管弦楽:
パシフィックフィルハーモニア東京(東京公演)
大阪交響楽団(大阪公演)

<東京公演>

日時:
2024年6月13日(木)
16:00開演(15:00開場)

2024年6月14日(金)
14:00開演 (13:00開場)

会場:
東京芸術劇場 コンサートホール
(東京・池袋)

チケット料金(全席指定・税込):
S席¥11,000
A席¥9,000

お問い合わせ:
キョードー東京
0570-550-799
(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)

<大阪公演>

日時:
2024年7月11日(木)
15:00開演(14:00開場)

会場:
フェスティバルホール
(大阪・中之島)

チケット料金(全席指定・税込):
S席¥11,000
A席¥9,000
B席¥7,000
BOX席¥13,000
バルコニーBOX席(ペアシート)¥22,000

お問い合せ:
キョードーインフォメーション
0570-200-888
(月~土11:00~18:00、日・祝休み)

詳しい情報はこちら:
https://www.yamauchikeisuke.com/

山内惠介 レギュラー出演番組

STVラジオ
「山内惠介の歌一本勝負」
毎月第1月曜 18:30~19:00

RKBラジオ
「山内惠介の歌の道標」
毎週日曜日7:40~7:59

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