ミシャ監督「途中解任なし」札幌、山田楓喜ら「期限付き移籍中」京都、3チームがJ2降格【J1「まさかの前半戦」と「マジかの後半戦」大激論】(6)

京都サンガから東京Vへ期限付き移籍中の山田楓喜。柏戦では40メートルを走り抜ける豪快ドリブル弾を決めた。原悦生(Sony α1使用)

2024年のJ1リーグが、折り返し地点にたどり着こうとしている。20チームで臨んだ前半戦は、良い意味でも悪い意味でもサプライズがあった。また、後半戦の展望につながる新たな材料も見つかった。前半戦をいかに消化し、後半戦に昇華させていくのか、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った。

■今年は3チームが「J2降格」熾烈な残留争い

――優勝争いの一方、今年は3チームがJ2降格となるので、残留争いも熾烈です。

大住「現在最下位の北海道コンサドーレ札幌は厳しいかな。守備がもろすぎるよね」

後藤「東京ヴェルディに5点取られたのはショッキングだったよね。やり方がどうこうというより、1対1で負けていたら、どうしようもないもんね」

大住「そうなんだよね。マンツーマン気味に守るのに1対1が弱かったら、相手にとっては楽だよね。クラブは少なくとも、ミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督を今シーズン途中に代えることはないと宣言したけど、圧倒的に多い失点を減らさないと勝点は積み上げられない。失点をどうするかは考えどころだよね」

後藤「札幌で比較的守備の力があるのは荒野拓馬と馬場晴也なんだろうけど、彼らをどう使うか。荒野は守備だけじゃなくて攻撃の中心でもあって、いろいろなことをこなしているけど、東京V戦を見ていて、ボランチで守備に力を注いだほうがいいんじゃないかと思ったよ」

大住「馬場は相手が古巣だったせいかもしれないけど、ちょっと入れ込み過ぎていて、ポジションを外れていることも多かったな。だから、ミシャがなんと言うかじゃなくて、選手たちが守備をしっかりやらないといけない。当たり前のことなんだけど」

■「新鮮で大きな脅威だった」ミシャのサッカー

――川崎フロンターレの話でも出た、監督の替えどきの難しさもあるのでしょうか。

大住「エレベータークラブだった札幌が、ミシャが来たことで中位、ときどき上位に行けるチームになった。でも、そうなると人材もどんどん引き抜かれていく。抜けた分を埋めるだけの補強ができるわけでもないので、苦しくなるのは仕方ないかなとも思う。とにかく、クラブとして今後どうしていくのか、あらためて考えないといけない時期ではあるよね」

後藤「CBがどんどん攻めに出ていくミシャのサッカーは、昔は新鮮で、相手にとって大きな脅威だった。でも今では、どこのチームでもやるようになっていて、そういうサッカーをすれば勝てるという時代じゃないんだよね」

大住「逆に、もろさばかりが目につくようになった」

後藤「対策されちゃうもんね」

大住「勝点1ずつ積み上げていけば、降格圏はすぐに脱出できるはずなんだから、少し考え方を変えないといけないんじゃないかな。点を取って勝とう、という掛け声だけでは勝てない時期に入っているんだから」

後藤「点を取って勝てればいいけど、それほどの得点力がないんだからね」

■京都は「期限付き移籍2人」を呼び戻せたら

――他に危ないチームはどこになりますか。

大住「京都サンガF.C.は、どうしてこんなに順位が下なんだろう、というくらいに良いサッカーをしているときがある。ただ、ストライカーがいないんだよね。東京ヴェルディに期限付き移籍させている木村勇大や山田楓喜を呼び戻せないのかな。そもそも、どうして出したんだろう」

後藤「よほど選手層が厚いのかな(笑)」

大住「だけど勝てていないわけで、不思議だよね。2人が今季、急に成長した、というわけでもないだろうし。降格圏では、湘南ベルマーレもなかなか勝点が伸びないね」

後藤「去年までは内容は良いのに何で勝てないのかな、という感じを受けていたけど、今年は本当に苦しいな、という感じじゃない?」

大住「そうそう。内容でまったく相手を上回れないよね。ちょっと厳しい感じではある。今回のインターナショナルウィークやパリ五輪など中断期間を利用して、立ち直れるチームが出てきたら残留戦線も面白くなると思うけど、今のままだと25、6試合を終えたあたりで降格チームが見えてきそうだよね」

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