高精度飛行を実現!「みちびき」対応ドローンChronoSky PF2の実力

by 青山祐介

日本の準天頂衛星「みちびき」の受信が可能なGNSS受信機を製造するコアは、この受信機を搭載し、モバイル通信の圏外であってもセンチメートル精度で飛行可能なドローン「ChronoSky PF2」を展示していた。

高精度飛行を可能にする「みちびき」対応GNSS受信機Tenの搭載

ChronoSky PF2は、ACSLの中型汎用ドローン「PF2」をベースに、コアが開発したGNSS受信機「Cohac∞Ten(コハクインフィニティ・テン)」(以下Ten)を搭載している。Tenは“日本版GPS”とも言うべき準天頂衛星「みちびき」から送出されるL6信号の受信が可能なGNSS受信機。L6信号は国土地理院が全国に設置している電子基準点を用いて得た補正情報をもとにした測位補強情報が含まれている。この信号を受信することで、CLAS(Centimeter Level Augmentation Service:みちびきセンチメーター級測位補強サービス(通称シーラス))による精密な測位が可能となる。

コアのブース。

センチメートル級精度の測位で再現性の高いルート飛行を実現

Tenを搭載したChronoSky PF2はこのCLASを利用して極めて正確な自機位置の測位が可能で、再現性の高いルート飛行による精緻な点検や物流のための飛行が可能になる。また、高い精度で自機位置の測位ができるため、測量用途で使用する場合はネットワーク型RTKのVRSの利用やGNSSローバーのような基準局を用いる必要がない。さらにUAV写真測量で写真の位置を補正するための標定点も不要となるといったメリットがある。

CLASが利用できるGNSS受信機「Ten」を搭載した「ChronoSky PF2」。
機体上部に「Ten」のアンテナを装備している。

このCLASを利用した国産ドローンは、砂防ダムの点検や石灰石鉱山の測量で実績があるという。同機のようにCLASが利用できる国産ドローンの量産機は他に例がなく、CSPI-EXPOの同社ブースでは、精密な飛行や測量が求められるユーザーに同機を訴求していた。

みちびきCLAS対応センチメートル精度小型GNSS受信機「Cohac∞Ten」。

なお、コアでは2024年4月から本運用が始まった「MADOCA-PPP」や信号認証サービスに対応した受信機「Cohac∞Ten++(コハクインフィニティ・テン++)」(以下Ten++)も製品化している。2024年2月に埼玉県秩父市でACSL、楽天グループと共に、Ten++を搭載したPF2を使ってGNSSスプーフィング(なりすまし)対策に関する実証実験を実施。今後、このTen++を搭載した「ChronoSky PF2 AE」を発売する予定だとしている。

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