1泊2日で百名山を2座登頂! 「瑞牆山」と「金峰山」 異名の巨石・奇岩「絶景レポ」

瑞牆山山頂から望む金峰山。雲の向こうには富士山も顔を出している(撮影:山歩ヨウスケ)

「日本百名山」と言えば、登山をする人はもちろん、しない人でも聞いたことがあるのではないだろうか。作家で登山家でもあった「深田久弥(ふかたきゅうや)」氏が選んだ100の山のことである。

日本百名山に選定されている山はいずれも魅力的であり、百名山登頂を目標に登山をしている人もいるほどだ。

今回はそんな日本百名山に選定されている瑞牆山(みずがきやま)と金峰山(きんぷさん)の2座を1泊2日の山行で登頂するプランを紹介したい。

■日本百名山:瑞牆山(みずがきやま・標高2,230m)・金峰山(きんぷさん・標高2,599m)

瑞牆山は山梨県にある標高2,230mの山で、山全体が花崗岩(かこうがん)で形成されており、山腹には名の付く奇岩・巨岩が点在し、山頂までの道中も楽しませてくれる。

金峰山は山梨県甲府市、北杜市、長野県川上村にまたがる標高2,599mの山だ。瑞牆山と同様に奥秩父山塊に属し、奥秩父を代表する山の一つである。

山頂に鎮座する五丈岩(ごじょういわ)は、金櫻神社(かなざくらじんじゃ)の御神体となっており、小さな鳥居と祠が祀られており、金峰山のシンボルになっている。

■DAY1 瑞牆山荘から瑞牆山へ

2日間の行程だが、初日は登山口へのアクセス時間を考慮し、行程時間の少ない瑞牆山から登る。スタート地点となる瑞牆山荘の近くには無料で利用できる県営駐車場があり、マイカーでのアクセスもしやすい。瑞牆山荘からミズナラの樹林帯を約55分ほど歩いたところで富士見平小屋(ふじみだいらこや)に到着する。

富士見平小屋は今回の拠点の宿泊地となる場所で、キャンプ指定地となっており、テント泊とした(1名1泊1,000円)。

ソロキャンプ好きの筆者はテント泊。キャンプ地は樹林帯の中にあるので風の影響を受けにくく、快適に過ごすことができた。また、富士見平小屋にある水場は環境省が選定した「平成の名水百選」にも選ばれていて、非常に冷たくておいしかった。

富士見平小屋を過ぎると、序盤はアップダウンが続く。30分ほど歩くと「桃太郎岩(ももたろういわ)」が現れる。

桃太郎岩から先はゴロゴロとした岩が多く、急登となり少々ハードな区間となる。

桃太郎岩から約1時間40分で山頂に到着する。山頂も岩の舞台のようになっており、大パノラマが広がる。

山頂は広いとは言えないが、休憩するスペースはあるので譲り合いながら景色を満喫してほしい。景色を楽しんだ後は富士見平小屋まで来た道を戻る。1時間45分ほどで到着する。

初日のルート所要時間は約4時間45分、距離は約4.4km(国土地理院地図より引用)

〈DAY1 登山ルート〉
瑞牆山荘⇒(55分)⇒富士見平小屋⇒(2時間10分)⇒瑞牆山⇒(1時間45分)⇒富士見平小屋

■DAY2 富士見平小屋から金峰山へ

2日目は初日よりも行動時間が長いので、早朝の出発になる。富士見平小屋からは長い樹林帯を歩く。瑞牆山のように奇岩や巨岩などの見どころはなく、単調な区間だ。景色が一番の楽しみである筆者にとっては、稜線にでるまで特に長く感じた区間だ。

富士見平小屋から、大日(だいにち)小屋を経由し、およそ2時間30分、砂払ノ頭(すなはらいのあたま)のあたりからハイマツ帯に変わり、眺望がよくなる。

砂払ノ頭から金峰山山頂までは1時間5分ほど、ここからは景色のいい稜線歩きが楽しめる。

山頂に近づくにつれて大きな岩がゴロゴロとしてきて、鎖が設置されている場所もあるが、危険を感じるような箇所はないので落ち着いて進もう。

見晴らしのいい稜線を歩いていると、やがて山頂にそびえる五丈岩(ごじょういわ)が見えてくる。富士見平小屋からは約3時間35分、金峰山の山頂に到着する。

山頂は人間よりも大きな岩がゴロゴロとしているものの、休憩できるスペースが多くあるので、景色を楽しみながら昼食をとるといい。富士山の景色を満喫しながら富士見平小屋で汲んだ水で飲んだコーヒーは格別だった。

金峰山からは360度のパノラマが広がり、八ヶ岳の方角を見ると、眼下には前日に登った瑞牆山も確認できる。

下山は富士見平小屋まで戻り、テントを撤収してから瑞牆山荘へと下山した。山頂から瑞牆山荘までの所要時間は、約3時間40分。

〈DAY2 登山ルート〉
富士見平小屋⇒(1時間)⇒大日小屋⇒(1時間30分)⇒砂払ノ頭⇒(1時間5分)⇒金峰山⇒(55分)⇒砂払ノ頭⇒(1時間10分)⇒大日小屋⇒(50分)⇒富士見平小屋⇒(45分)⇒瑞牆山荘

■1泊2日の2座登頂で百名山を満喫しよう

山容の異なる瑞牆山と金峰山に登った後の満足感は、普段の日帰り登山よりも大きいだろう。2日間で2座登頂は決して優しいプランとは言えないが、満足度は高いのでぜひチャレンジしてみてほしい。

隣同士にある瑞牆山と金峰山は、どちらも日帰りでの登頂が可能な山であるが、一度の山行で百名山を2座登るプランを組むことで交通費が1回分で済み、トータルでかかるコストを抑えることができておすすめだ。一度で2座登頂したことで筆者もトータル1万円以上のコストセーブができた。

瑞牆山、金峰山ともに標高は2,000mを超え、富士見平小屋でも標高は1,800m以上あるため、気温は低い。防寒対策を十分にしてでかけてほしい。

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