日本核燃料開発が虚偽記録 機器点検5件、長期間 茨城・大洗

原子力規制委員会は12日、日本核燃料開発(茨城県大洗町成田町)が、放射性廃液タンクなど5件の機器を、点検していないのに実施したとする虚偽の記録を長期間にわたって作成していたと発表した。同社は2021年にも同様の不正が発覚したのに改善せず、継続していた。

規制委は「原子力安全や核物質防護に一定の影響があるか、そうした事態になりうる事案」に当たるとして、4段階の深刻度レベルで下から2番目の評価を下した。

規制委によると未点検だったのは燃料貯蔵施設の扉や給排気設備の弁など。21年には火災報知機が約21年間未点検だったことが発覚していたが、担当者は同じだった。

規制委が検査に入ったところ、この担当者1人で全点検項目の45%を担当し業務過多となっていたほか、点検の遅れを上司から叱責(しっせき)され相談できなかったことが判明。同社が不適切な職務環境を放置したことを問題視した。

県は21年の不正発覚時、厳重注意を行い、再発防止と取り組み状況の定期報告・公表を求めてきた。県原子力安全対策課は「不正が組織として是正されていない。県民の原子力事業所に対する信頼を著しく損ねるもので誠に遺憾だ」として、同社の姿勢を厳しく批判した。

県は現時点で厳重注意などの処分を行わないとする一方、同社に対して改めて再発防止策の報告書提出を求める方針。その後、県原子力安全対策委員会を開き、内容の実効性を確認するとしている。

同社は「皆さまの信頼を損ねる行為で申し訳ない。真摯(しんし)に改善したい」としている。

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