福島県内新たに3万8670カ所 土砂災害発生恐れ、03年から5.5倍

 県は12日、大雨などによって斜面の崩壊や土石流が発生する危険性がある場所を、新たに県内の3万8670カ所で確認したと発表した。2003年公表の調査では8546カ所が確認されており、今回の調査で約5.5倍の計4万7216カ所となった。県は現地調査などを経て、土砂災害の恐れがある「土砂災害警戒区域」指定に向けた手続きを進める方針で、併せて市町村の地域防災計画やハザードマップに反映し、危険性の周知を図ることなどを呼びかける。

県内に甚大な豪雨被害をもたらした19年の東日本台風では、土砂災害による人的・人家被害41件のうち約6割の25件が土砂災害警戒区域の外で発生した。これを受け、県は21~23年度、上空からのレーザー測量による地形情報を基に、斜面の高さや傾斜など土砂災害発生の恐れがある地形条件に当てはまり、建物がある区域を抽出した。この結果、3万3799カ所で急傾斜地の崩壊、4871カ所で土石流の恐れがあることが分かった。市町村別ではいわき市の6194カ所が最も多く、二本松市4182カ所、田村市3420カ所、伊達市2380カ所などだった。

 県は03年の調査で確認されるなどした危険箇所と地滑りの恐れがある132カ所について土砂災害警戒区域の指定を進めており、これまでに東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域などを除いた8150カ所を指定した。今回確認された3万8670カ所についても、現地調査を経て警戒区域の指定に向けた手続きを進める方針だ。また、土砂災害の危険度などを確認できる県土砂災害情報システム(土砂アラート)にも9月までに反映させる。

 県は、3万8670カ所について「全てが危険を伴う区域とは限らない」とした上で、住民への危険性の周知が必要との判断から現地調査前に公表した。「いずれも警戒避難体制を整える必要がある場所。大雨が降った場合など、いざという時には早めの避難を心がけてほしい」(砂防課)と呼びかけている。

 市町村別の詳細な場所は県砂防課ホームページで確認できる。

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