茨城県警の巡回連絡 1年で49万世帯 ニセ電話や侵入盗減 6月から全世帯対象

高齢者宅を訪問し、防犯を呼びかける桜川署員=昨年9月、桜川市内

茨城県警は12日、県内の高齢者世帯を対象に実施してきた巡回連絡について、今年5月末までの1年間に全体の93%に当たる約49万3000世帯で実施したと発表した。ニセ電話詐欺や住宅侵入盗などの認知件数は巡回連絡開始後に減少。6月からは県内全世帯に対象を広げ、いっそうの犯罪被害防止に取り組む。

県警は昨年6月以降、「高齢者総合安全対策」として、65歳以上の高齢者が暮らす約53万世帯を対象に、県内27警察署員が巡回連絡を実施。ニセ電話詐欺や住宅侵入盗、歩行者事故などへの対策を呼びかけてきた。

県警によると、巡回した世帯では、署員がニセ電話詐欺対策として約29万3000世帯の固定電話を留守番電話設定にしたり、架空料金請求詐欺の手口を周知したりした。その結果、昨年6月~今年3月のニセ電話詐欺の認知件数(181件)は前年同期比25%減となり、減少幅は全国平均の同6%を大幅に上回ったという。

住宅侵入盗の被害防止に向けて自宅の常時施錠を呼びかけたところ、県内の侵入盗の認知件数は昨年6月をピークに減少傾向が継続。今年1~5月は同12%減となる453件となり、中でも無施錠箇所から侵入する「忍び込み」が大幅に減少した。このほか、歩行者の事故対策では、高齢者85万人のうち21万人の靴などに反射材を貼付した。

県警によると、住民からは「警察官が来てくれて安心する。引き続き巡回してほしい」などの声が寄せられたという。

防災意識の高揚に向けた防災講話は、この1年間で1100回開催。受講者は延べ6万5千人に上った。自主防災組織など2000を超える団体に避難訓練の実施も呼びかけ、うち386団体が実施。防災意識や災害への対処スキルを向上させたとしている。

県警は今後も「犯罪へのディフェンス力強化対策」として巡回連絡を活用する方針。今月からは、幅広い世代で被害がある自転車盗や投資詐欺などへの注意を呼びかけるため、3年間で県内全123万世帯の一巡を目標に掲げている。

© 株式会社茨城新聞社