6秒間の沈黙に込めた大谷翔平への思い 16号被弾…敵地実況の“本音”「寂しく感じます」

取材に応じたレンジャーズ実況のデーブ・レイモンド【写真:小谷真弥】

レンジャーズ実況デーブ・レイモンド氏「オオタニを見るのは本当に楽しいです

■ドジャース 15ー2 レンジャーズ(日本時間12日・ロサンゼルス)

ドジャース・大谷翔平投手の爆速アーチに敵地実況も魅了された。11日(日本時間12日)の本拠地・レンジャーズ戦の6回に5試合ぶり16号2ラン。打球速度114.2マイル(約183.8キロ)の弾丸ライナーで右中間スタンドへ放り込んだが、この豪快弾にあえて沈黙を貫いたのが敵地放送局バリースポーツ・サウスウエストの実況、デーブ・レイモンド氏だ。

沈黙のシーンは7-1で迎えた6回1死一塁だった。大谷のバットから右中間へ伸びていく打球。放送ブースのあるバックネット裏5階席から見守ったレイモンド氏は、スタジアムの熱狂を即座に感じ取った。思い切った“話術”に出た。

「5万1000人のファンが十分に球場の雰囲気を伝えてくれていたので、私が話す必要はありませんでした。興奮に包まれ、大歓声でした。歓声が素晴らしかったと思いましたし、私が何かを言うよりいいと思いました」

大谷が昨オフにエンゼルスからドジャースへ移籍。レンジャーズにとっては同地区のライバル球団の“戦力ダウン”となった。「間違いなくレンジャーズにとってはいいこと」と言うが、「本音」は違うという。

「オオタニは今まで見てきた中で、最も優れた野球選手、いや最も優れたアスリートです。MLBでイチバンのプレーヤーです。彼を見るのは本当に楽しいです。どこのファンでも、彼のプレーを見られるのは貴重な機会です。だから、近年ほど対戦できないことは寂しく感じます。試合に出るだけで、劇場のようになるのですから」

昨季ワールドシリーズを制覇したレンジャーズの実況を務めてから今季で8年目。ライバルチームをカバーする敵地実況も背番号17に魅了されている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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