もはや少子化待ったなし!参院で可決成立した「少子化対策関連法」に対して論客たちの意見は?「分担が女性に重くのしかかっている」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、合計特殊出生率が過去最低を更新するなかで政府が推し進める“異次元の少子化対策(少子化対策関連法)”について取り上げました。

◆合計特殊出生率が過去最低を更新、東京は初の1以下に

厚生労働省が発表した去年の人口動態統計によると、女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は全国で「1.20」と過去最低を更新。東京都は「0.99」で初めて「1」を下回りました。また、去年1年間に生まれた赤ちゃんの数を示す出生数は過去最小の72万7,277人。政府の推計より11年早いペースで減少しています。

林官房長官は「少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6年程度が、少子化傾向を反転できるかのラストチャンス。少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めている」とコメント。厚労省は若い世代の所得向上のほか、夫婦ともに働き、ともに子育てするのに必要な政策を推進していくとしています。

一方、国会では岸田政権が今国会の目玉政策と位置付ける「少子化対策関連法」が参議院本会議で可決成立しました。これは児童手当や育児休業給付を拡充するもので、財源を確保するために公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」を2026年度に創設し、幅広い世代から徴収します。2026年度には総額6,000億円を徴収し、その後、順次引き上げる方針で2028年度には1兆円となる見通しです。

◆過去最低を更新した出生率…識者の見解は?

食文化研究家の長内あや愛さんは、「1.20」という合計特殊出生率については「何も驚かない数字」としながら、「子どもを産み・育てる女性の社会進出が進み、活躍すればするほど、出生率は下がるものだと思う」と私見を述べます。その上で、自身を含めた20代の未婚者への対策としては、「出生率が下がっているから何かをするというより、こうなってしまった状態に対し、社会を変えていく必要がある」と意見します。

今回の支援策の詳細を見てみると、「児童手当」は所得制限を撤廃し、高校生まで延長。さらには、第3子以降は月3万円としています。そして、働いていなくても6ヵ月~3歳の子どもを保育所などに預けられる「こども誰でも通園制度」や2歳未満の子どもがいて時短勤務をしている人には賃金の1割を上乗せ支給する「育児時短就業給付」を拡充。

また、両親ともに14日以上取得すれば、最大28日間、手取り収入が実質10割もらえる「育休支援給付」があり、その他にも「妊婦支援給付」として10万円相当の給付などもあがっています。なお、これらを含め、政府は少子化対策に年間最大で3兆6,000億円が必要だと試算しています。

多くの対策が挙がる一方で、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは、子ども・子育て支援の最大の問題点として家事における男女の役割分担を挙げ、「子育て・家事・介護などを含めた分担が女性に重くのしかかっていて、さらにプロフェッショナルなキャリアを追求するとなると自分の時間は全くなくなるし、疲弊し、追い詰められてしまう。この土壌を変えることが必要」と指摘。

関西大学特任教授の深澤真紀さんは、「日本は、共働きの家庭であっても男性が家事をしない。そこには長時間通勤や長時間労働などが背景にあるが、それがために日本の働く女性は世界で一番睡眠時間が少ない」と女性の苦労を訴えます。

また、深澤さんはもうひとつの視点として、「子育て支援も大事だが、長内さんの言う通り若者への支援が必要。今の高校生・大学生は、自分たちが支援されている、尊重されているという気持ちがない。この約10年間、大学生は自分たちが社会に尊重されているという意識を持てていない。それが氷河期世代以降ずっと続いている」と悲嘆。

この意見に対し、長内さんは「希望を持てたことがない」と実感を語り、「20代女性としてキャリアを築きながら、仕事を頑張りながら結婚する選択肢があるのか(わからない)。どうしても自分の今の生活を守ることを優先してしまうので、婚姻率も下がっている。ここに支援してほしい」と望んでいました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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