看護師の活躍、小説に 作家・小林さん「楽しんで」 茨城・つくばが舞台 勤務経験生かす 「ナイチンゲール7世」

つくば市を舞台にした看護師小説を書いた小林光恵さん=つくば市内

茨城県つくば市在住の作家、小林光恵さん(63)が同市を舞台に天才看護師の活躍を描く小説「ナイチンゲール7世」を発表した。小林さんは元看護師。これまでも自身の経験を基にエンターテインメント小説やエッセーを執筆してきた。新作について「専門職から一般の人まで幅広く楽しんでもらいたい」と話す。

今回の物語は、近代看護と看護統計の始祖で、英国の看護師、フローレンス・ナイチンゲールの子孫が主人公。ハーバード大学院卒の天才看護師という設定で、統計学の知識などを駆使し、医療問題を解決するストーリーだ。つくば市をモデルとした「つくの市」に拠点の診療所を構え、他の医療機関や看護師から寄せられる困り事や相談を、仲間とともに解決を目指す。全5話で構成され、最終話はつくばマラソンが事件の舞台となる。

小林さんは同県行方市出身。東京警察病院看護専門学校を卒業後、東京警察病院や茨城県赤十字血液センターに看護師として勤務。その後、編集者として出版社に勤務し、30歳で看護師の経験をつづったエッセーで作家デビュー。漫画「おたんこナース」の原案など、看護師を主人公とした作品を発信し続けている。

作品のモチーフになったナイチンゲールについて「有名だが看護職にとってはさらに特別な存在」と思いを語る。約10年前に書きたいと思い立ち、設定やストーリーを練って何度も書き直した。

住み慣れたつくば市を舞台にした理由を「依頼を受けてあちこちに行く主人公が拠点にするのに良い。現実感が湧くと思った」と説明。「地域の中で主人公の看護師が活躍する姿を見てほしい」と話す。

同書はイーストプレス社刊、四六判264ページ、定価1540円。

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