板垣李光人の“あざとい年下どんぎつね”が話題! ブレイク前夜『仮面ライダージオウ』ではどんなだった?

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日清食品『日清のどん兵衛』の新CMで、“どんぎつね”の姿を披露した板垣李光人さん。オフホワイトのパーカーにキツネの耳を頭の上に着け、吉高由里子さん演じる“お姉さん”にあざとく迫る年下の“どんぎつね”。さすがのかわいさだ。

板垣さんは、そのほか2020年の『約束のネバーランド』、2023年の『どうする家康』、直近では『ZOZOTOWN』のCMで吉岡里帆さんと共演したことでも話題になった。そんな大ブレイク中の板垣さんだが、実は『仮面ライダー』シリーズにも出演していたことをご存じだろうか。

そこで今回は、板垣さんのブレイク前夜となった『仮面ライダージオウ』での彼の活躍を見ていきたいと思う。

■平成最後の仮面ライダー『仮面ライダージオウ』

年号が令和に変わる直前の2018年。平成仮面ライダーシリーズ20作品目にして、平成最後の仮面ライダーとして放送されたのが『仮面ライダージオウ』だ。

そんな特色から本作は、ストーリー面ではシリーズ第1作目の『仮面ライダークウガ』から第19作目の『仮面ライダービルド』を含めたさまざまなライダーたちが登場し、バトルの面でもその歴代仮面ライダーたちの力を持つ「ライドウォッチ」を使用して戦う、平成仮面ライダーの集大成的な作品となっている。

また、主人公である常磐ソウゴは、仮面ライダージオウに変身して人々を救うヒーローであるのと同時に、未来の2068年では、最低最悪の“魔王”として世界を支配しているオーマジオウになるという設定も非常に面白かった。

本作では、仮面ライダージオウで未来の魔王となるソウゴを中心に、未来から来てソウゴが王になることをサポートする者たちと、それを阻止しようとする者たち、ソウゴ以外の別の者を王に擁立しようとする者たちの大きく三つの勢力の争いが描かれていく。

■板垣李光人さんが演じたウール

板垣さんは、その勢力の1つ、別の者を王に擁立しようとする者たち「タイムジャッカー」のウールを演じていた。

彼らタイムジャッカーは、歴代平成仮面ライダーの力を与え、人々を本作の怪人にあたる「アナザーライダー」へと変貌させる。オーマジオウに代わる“新たな王候補”を作り出すことで、歴史改変を目論んでいるのだ。

タイムジャッカーの主要メンバーは3人。リーダー格のスウォルツ、クールビューティーなオーラ、そして板垣さんの演じた少年・ウールだ。ウールは、青を基調にしたショート丈のジャケットとサロペットというコスチュームで、虚勢を張るためか、いつもポケットに手を入れていたのも印象的だった。しかし、そのかわいい見た目とは裏腹に非常に残酷な一面を持っている。

ウールは、第1話「キングダム2068」から登場。車に轢かれそうになった男性を時を止めて助けたかと思いきや「本来の歴史では、君はここでこの車にはねられちゃうんだ。ただし僕と契約すれば…」と契約を持ちかけ、アナザーライダーへと変貌させ人々を襲わせ始める。

そして仮面ライダージオウであるソウゴと遭遇。未来で魔王となる彼に対して「君がどんな未来を選ぶか見せてもらうよ」と言い、挑発した。そしてその後も、ウールはオーマジオウに代わる新たな王を誕生させるため暗躍し続ける。

■最後にウールはどうなった?

そんな板垣さん演じるウールは物語中盤、仲間であるスウォルツによって自身もアナザーライダーへと変貌させられてしまう。そこでは無事生還するが、そのことをきっかけにスウォルツに対して疑念を抱くようになり、真実を知るための動きを取るようになる。

そして、“自分が王になる”というスウォルツの真の目的を知ったウールは、スウォルツから力を奪われたオーラとともに逃亡し、ソウゴの暮らすクジゴジ堂にかくまわれることとなる。帰る場所がないウールに対して、ソウゴが「クジゴジ堂を家だと思ってもいいんだよ」と言い信頼関係を築き始めるこの場面はぐっとくる。個人的に大好きなシーンだった。

ウールとオーラもこれから仲間になっていくのかなと思っていたのだが、その矢先、第45話「2019:エターナル・パーティ」にて、突如裏切ったオーラによりウールは胸を貫かれ、最後はソウゴの腕の中で悲しく息を引き取ってしまう。ストーリーに大きな影響を与えたウールだが、残念ながら最終回目前で途中退場となってしまった。

ちなみに裏切ったオーラはその後、ウールを処刑したことでスウォルツに近づき、自分とウールを騙して利用してきたスウォルツに一太刀入れようとする。しかし、それさえもスウォルツには見透かされており、そのまま返り討ちに遭いオーラも途中退場となっている。

本編では報われないウールとオーラだったが、最終回「2019:アポカリプス」のエンディングにて再構成された世界では、ソウゴと同じ光ヶ森高等学校に通う高校生として二人仲良く登場していた。

そのときのウールは「タイムジャッカー」のコスチュームではなく学生服を着ており、ソウゴを「王様先輩」と呼び慕う姿は本当に幸せそうだった。

『仮面ライダージオウ』で板垣さんが演じたウールは、新CMのどんぎつねと同様、かわいく無邪気な少年であった。しかしその見た目とは裏腹に人々を混乱に陥れ、それを楽しむ残忍な「タイムジャッカー」であり、最期は仲間に裏切られるという可哀そうなキャラでもあった。ただ、そのすべての要素が、ウールの悪役としての魅力を高めていたように思う。

ウールは、板垣さんの役者としての魅力を存分感じることができる、そんなキャラであった。くるくると表情を変える板垣さんの活躍を、この機会に振り返ってみてはいかがだろうか。

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