最高値更新の金相場、下期も勢い持続へ 3000ドル到達は困難か

Brijesh Patel Ashitha Shivaprasad

[シンガポール 12日 ロイター] - 金相場は基礎的諸条件が堅調で、過去最高値を何度も更新している今の勢いを下半期にも維持しそうだが、1オンス=3000ドルの達成は難しいと市場関係者は見ている。

金相場は、金融緩和への期待、欧州や中東での地政学的緊張、さらには中国の中央銀行による購入などを追い風に上昇。スポット価格は5月20日に過去最高値となる2449.89ドルを付けた後、足元では2300ドル前後で推移し、年初来で11%余りの上昇となっている。

ロンドン貴金属市場協会のルース・クロウェル最高責任者(CEO)はシンガポールのイベントの傍ら行ったロイターのインタビューで、「今の金相場上昇を牽引する要因は多々あるが、中でも重要なのは中国だ」と指摘。「中国や日本は通常、予算をにらみながら金を購入するが、経済状況、課題を抱える不動産市場、株式市場などによって金が安全な選択肢になっている。金への投資意欲は当面持続するだろう」と述べた。

中国を筆頭に世界各国・地域の中央銀行は、通貨安や地政学的・経済的リスクを理由に、安全資産とされる金の保有量を増やしている。

ストーンXのアマー・シン氏は「金の実需は強いが、上場投資信託(ETF)向けの小口投資家からの需要や、米国での需要はまだ見られない。金相場が年内に2600ドルないし2700ドルに達する可能性は非常に高い」と述べた。

市場関係者のほとんどは金に対して強気な立場だが、相場が3000ドルを超える可能性は低いと見ている。

メタルズ・フォーカスのニコス・カヴァリス氏は「金相場を抑え込む特定の要因があるわけではないが、3000ドルに到達するにはさらに30%の値上がりが必要で、これまでの上昇を考えると、これはかなりの幅だ」と述べた。

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