JAL、上級会員向けに国際線ファーストクラス提供のワインとマリアージュを愉しむ夕べ。椎名敬一が伝えるシャトーの情熱

by 深澤 明

2024年6月12日 実施

JALが上級会員向けに国際線ファーストクラス提供のワインを楽しむイベントを実施

JALは6月12日、JGC上級会員(JGC Six Star/Five Star/Four Star/Three Star)限定で、「『サントリー×BELLUSTAR TOKYO×JAL』椎名敬一氏を招き、JAL国際線ファーストクラスご提供のシャトーラグランジュをBELLUSTAR TOKYOのおもてなしとともに」を開催した。

フランス・ボルドーのサンジュリアン村に位置するメドック格付け第3級のシャトーラグランジュ。サントリーが1983年に経営権を獲得して、世界的評価も高まっている。このイベントではシャトーラグランジュ前副会長の椎名敬一氏をナビゲーターに迎え、シャトーが誇るグレートヴィンテージを貴重なエピソードとともに紹介。BELLUSTAR TOKYOの素敵な料理とのマリアージュを楽しんでもらう内容だ。

サントリー株式会社 ワイン本部 登美の丘ワイナリー チーフエノロジスト 椎名敬一氏

会場は、開業1周年を迎えた、東京歌舞伎町タワー最上部のホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」の45階に位置するメインダイニング、Restaurant Bellustar(レストランベルスター)。“素材で旅するレストラン”がコンセプトのモダンフレンチレストランだ。

1名あたり4万マイルで参加できるこのイベントは抽選で30名の定員で募集し、当日は27名が参加した。会場にはスクリーンが用意され、また天候にも恵まれたため眺望も期待できそう。用意されたワイングラスが期待感をくすぐる。

厨房では参加者を迎える準備が着々と進んでいる

イベントは、津軽シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング2019から。津軽という産地を想わせる、りんごのような甘さと酸、爽やかでゆったりと果実感だ。1983年にシャトーラグランジュの経営権を取得してからのサントリーの歩みなどを椎名氏が解説。ぶどうの木は20年の樹齢を迎えてようやくワインに適したぶどうを実らせはじめる。「人間と同じような感覚なんですよ。ある程度の円熟味が必要なのです」。その後、この津軽シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング2019で乾杯でスタート。

アミューズは、普段レストランベルスターではやらないという盛り合わせで提供した。小松菜のガスパチョ、パテドカンパーニュ、3種類のグジュール、甘海老 フォアグラ 紫蘇、スルメイカのカルボナーラ キャビア。

魚料理は、若狭マハタのポワレ 青のりのブール・ブラン。ワインは、レ ザルム ド ラグランジュ2019。シャトーラグランジュが手掛ける白ワインで、繊細な味わいと豊かなボディのハーモニーを楽しむ。

椎名氏がスクリーンを使って解説してくれることで、ワインのバックボーンを知ることができるのもこのイベントのよいところだろう。すっかり外も薄暮になってきていい雰囲気だ。

外はすっかり夜の帳が下りている。夜景鑑賞だけでも十分価値あり

肉料理の1品目は鴨のロティ 加賀蓮根 牛蒡のソース。ワインはレ フィエフ ド ラグランジュ2020。シャトーラグランジュのセカンドラベルで、ラグランジュの魅力を継承し、素直で飲みやすい赤ワインだ。

メインの肉料理は能登牛サーロイン・ランプの炭火焼 辛味大根 バルサミコ。ここではシャトーラグランジュの2005/2016/2019を提供した。

シャトーラグランジュ2005は素晴らしい気象条件に恵まれ、豊かでいきいきとした果実の香りとなめらかな口当たりが特徴だ。サンジュリアン最高の年にふさわしい調和とまれなる優雅さを持っているという。シャトーラグランジュ2016は異例づくしの気候が育んだ類まれなるヴィンテージだ。

そして、シャトーラグランジュ2019は、過去36年間のなかで最も小粒で凝縮感に富んだブドウの果実を収穫できた年で、豊かなタンニンと果実のフレッシュ感を兼ね備えた歴史的なヴィンテージ。椎名氏もこのシャトーラグランジュ2019を語る際には、言葉にも熱を帯びていて、ワインの作り手の情熱が伝わってきた。

シャトーラグランジュの2005/2016/2019の飲み比べは、まさに至福

デザートはブルーチーズのムース 青トマトのコンフィチュール、メロンのスープ仕立て。その後3種類のお茶菓子をコーヒーとともにいただいた。

さて、今回ナビゲーターと務めた椎名敬一氏は現在、サントリー ワイン本部 登美の丘ワイナリー チーフエノロジストだ。1985年にサントリー入社後、葡萄栽培研究室勤務ののち、1987年に西ドイツガイゼンハイム大学へ客員研究員として派遣されている。1988年のロバート・ヴァイル醸造所取得と立ち上げに参画し、1990年まで同醸造所に駐在した。

帰国後はワイン研究室、原料部、ワイン生産部を経て、20004年6月にシャトーラグランジュ副社長に就任、2005年3月より同会長となる。光学選果機や小型タンクの導入と、畑の詳細なテロワールマップの作成をベースに、区画ごとの仕込みとピンポイントでの完熟収穫を実現。品質向上につなげた。ラグランジュのステージが変わったことを印象づけるシャトーラグランジュ2016、2018、2019というヴィンテージを残して、2020年9月に帰任している。

現在は日本発の世界に誇るワインを世に放つべく、登美の丘ワイナリー チーフエノロジストとして品質向上と技術の伝承に当たっている。ブドウ畑の土壌の解説など、綿密な分析と研究を重ねてきた片鱗を十分に感じさせてくれた。ワインの解説では収穫時期からファーストワイン比率やブレンド率など、ワイン好きにはたまらない至福の時を提供してくれた。

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