この季節、“ヒスタミン食中毒”に注意 匂いや見た目では分からない…「赤身魚の保存方法に気をつけて」

マグロなどの赤身魚の中で作られた化学物質が原因で起きる「ヒスタミン食中毒」。専門家は「気温や湿度が上昇するこの季節、適切な温度で魚を保存してほしい」と注意を呼びかけています。

加熱しても分解されない「ヒスタミン」

赤身魚(マグロ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなど)やその加工品がもとで発症することが多い、ヒスタミン食中毒。 あまり聞き慣れない「ヒスタミン」。その正体は、不適切な温度管理や長期保存などによって魚に付着する菌が増殖し、赤身魚に多いアミノ酸の一種「ヒスチジン」に働きかけることで作り出されます。 至学館大学栄養科学科の廣井豊子教授によると「ヒスタミンは一度魚の中で生成されると加熱しても分解されず、焼き物・揚げ物にしても食中毒は起こりえる」ということです。 また「匂いや見た目では、ヒスタミンが増えているかどうか分からない」といいます。

食中毒とは気づきにくい症状とは

廣井教授によると、ヒスタミン食中毒は、食後30分以内に「口の周りがかゆくなる」「皮膚が赤くなる」など蕁麻疹(じんましん)に似た症状が出ることから食中毒とは気づきにくく、重症化はあまりないとされていますが、高齢者や子どもがかかると症状が悪化することもあるということです。 また「保健所への報告は、学校給食などで集団発生した事例がほとんどで、一般家庭からの報告事例は少ない。6時間から10時間ほどで症状は回復することが多いため、一般家庭で発生していても報告に至っていない可能性がある」といいます。

予防方法は

ヒスタミン食中毒を防ぐため、廣井教授は以下のことに注意してほしいと呼びかけています。 ・魚や加工品を口に入れたときに「ピリピリ」したときは食べるのをやめる ・気温や湿度が上昇するこれからの季節は、赤身魚を常温で放置しない ・冷蔵でも菌が増殖しヒスタミンが増えることがあるため、 特に赤身魚を長時間保存する場合は冷凍が望ましい ・冷凍・解凍の繰り返しは避ける ・水揚げされてから漁港に着くまでの冷却保存状況がよく分からない「輸入された魚」には特に注意が必要。少しでもヒスタミンを増やさない対策を取る

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