ロシアの艦船4隻がキューバに寄港、示威行動か

ウィル・グラント(BBC中米・キューバ特派員)、ヤロスラフ・ルキフ(BBCニュース)

ロシアの原子力潜水艦やフリゲート艦など4隻の海軍艦船が12日、カリブ海のキューバに寄港した。ウクライナでの戦争をめぐってロシアと西側諸国の緊張が続くなか、ロシアが力を誇示したと受け止められている。

艦船はハバナ湾に停泊している。アメリカとの距離は、最も近いフロリダ州で約145キロメートル。

ロシア国防省によると、寄港したフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」と原潜「カザン」は共に、極超音速ミサイル「ツィルコン」などの最新兵器を搭載可能。これらの艦船は先に、大西洋でミサイル訓練を行った。

キューバ外務省は、いずれの艦船も核兵器は積んでいないと説明。今回の5日間の寄港は、地域に脅威を与えるものではないとしている。

米当局は、注意深く監視するとしている。BBCがアメリカで提携するCBSによると、米海軍は海上ドローン(無人機)を使い、キューバに接近したロシア艦船を監視したという。

礼砲を受けて入港

ロシア艦船はこの日、曇り空の下、小型船に脇を固められ、21発の礼砲を浴びながらハバナ湾に入った。

ロシア国防相は声明で、今回の寄港は非公式なもので、乗組員が「休息をとり、現地の魅力に触れる」のが目的だとした。

ロシアは過去にもキューバに軍艦を派遣している。両国は長年にわたり友好関係を維持している。ただ、今回の寄港のタイミングは特筆すべきものだ。

2022年にウクライナを本格侵攻したことで、ロシアと西側の緊張は高まっている。そうした状況での寄港に、ロシアの示威行動との解釈も出ている。

たしかに、ロシアはアメリカに向けて、「自分の家の庭での出来事への介入」について、かなり明確なメッセージを送っているように見える。

今回の寄港は、キューバの共産主義政権と、その社会主義の友好国ヴェネズエラへの支援の、重要な象徴となっている。ロシアの艦船はキューバの後、ヴェネズエラに寄る可能性がある。

米当局は今回の寄港について、認識はしているが脅威と受け止めてはいないと説明。ロシアの原潜に核兵器は搭載されていないと理解しているとした。

今回の寄港は、広い意味では通常と考えることができる。だが、それが実施されている世界的な対立という背景は、通常には程遠い。

(英語記事 Russian warships arrive in Cuba in show of force

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