元自民党議員の今野智博容疑者が前代未聞の弁護士法違反で逮捕…議員時代の所属は「清和政策研究会」

逮捕された今野智博元衆院議員(C)共同通信社

《元自民党議員か》《自民のイメージがまた悪くなるな》……。SNS上ではこんな皮肉な意見が飛び交った。警視庁捜査2課が13日までに、元自民党衆院議員で、弁護士の今野智博容疑者(48)を弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕した、と報じられたためだ。

今野容疑者の名義を利用したとして、職業不詳、辻直哉容疑者(51)ら男女10人も同法違反容疑で逮捕された。

今野容疑者は2023年12月~24年1月ごろ、自身の弁護士の名義を辻容疑者らに貸し、特殊詐欺の被害者ら5人の被害回復に関する法律事務をさせた疑いがあるという。辻容疑者らは詐欺被害回復をうたい、着手金名目で23都府県の約900人から約5億円を集めていたとみられる。警視庁は背後関係や他に関わった人物がいないかどうか詳しく調べる方針だ。

■国会議員時代は改正組織的犯罪処罰法の成立に精力的

今野容疑者は自民党が政権復帰した2012年12月の衆院選で、衆院埼玉11区から公認候補として出馬し初当選(比例代表北関東ブロックで復活)。2期務め、17年10月の衆院選で落選した。在職時に所属していた派閥は裏金事件の舞台となった「清和政策研究会」(安倍派)だ。

国会議員時代に精力的に取り組んでいたのが、17年6月に成立した、いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法。同法は、処罰の対象範囲が広い上、「計画」「準備行為」「組織的犯罪集団」といった条文の定義が曖昧として、日弁連が「市民の人権や自由を侵害するおそれが強い」と強く反対していたが、今野容疑者は「組織的犯罪処罰法案の成立に関しては私自身、一生懸命これから汗を流してまいりたい」(17年4月の衆院法務委員会)と発言していた。

今回の逮捕容疑は弁護士法違反で、組織的犯罪処罰法とは関係ないが、名義貸しだけでなく、「計画」や「準備行為」にも関わっていたとしたら……。認否は明らかになっていないものの、いずれにしても、元国会議員の法律家が逮捕されるのは前代未聞だろう。

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