尾を引く“公園廃止問題”「子どもの声うるさい」苦情きっかけ…「住民への説明十分でなかった」ようやく検証本格化

子どもの声がうるさいと一部住民の苦情をきっかけに廃止された長野市の青木島遊園地。一連の経過の中で多くの地元住民に知らされないまま手続きが進んだことに疑問の声があった。有識者を交えた検証が今後、本格化する予定で問題はまだ尾を引いている。

“公園廃止”をめぐる経過は

長野市青木島町の更地。

かつては子どもたちの声が響いていた。

しかし、「子どもの声がうるさい」との一部住民の苦情をきっかけに2023年、廃止された。

廃止に至る過程で市の対応が不信を招いた。

青木島遊園地ができたのは2004年。すぐに一部住民から苦情が寄せられた。

市も対策を施したが、2021年に児童センターに住民が直接、静かにするよう要請。これを受けて児童センターは利用を中止した。

その後、地区の区長会は利用が減ったことを受けて「廃止やむなし」とし、市が一度廃止の方針を決めた。

この決定は多くの地元住民に知らされていなかった。このため、一部報道をきっかけに廃止を疑問視する声があがる。

住民から疑問の声

2023年2月、開かれた地元説明会で、荻原市長は継続も含め「再検討」の考えを表明する。

しかし、公園は借地で、すでに地権者が後利用を決めており2023年3月、市長が改めて「廃止」を表明した。

この段階でも地権者の計画を把握していた市の担当者が、市長に説明していれば「再検討の表明」はなかったのではという疑問の声が上がった。

行政の対応はどうだったのか

地域の合意形成、そして庁内での事務手続きに問題があったとし、市は2024年3月から弁護士、信大の教授、元県職員の3人の外部委員を交え検証を進めている。

3月の会合で、外部委員の石津広司弁護士は「なかなか難しい問題。市民の声、行政の対応はどうだったのか」などと指摘した。

1回目の会合は冒頭を除き「非公開」。5月29日の2回目の会合は最初から「非公開」だった。

これまでの会合は論点整理にとどまる

6月12日、市は2回目の会合について概要を説明した。委員からは「住民への十分な説明」「遊園地の設置・廃止に関するルール」「庁内の情報共有や報告に基準などが必要ではないか」との声があり、これらをポイントに引き続き検証することになったという。

一方、会合を非公開にしている理由について、市は一連の経過の検証に個人情報が含まれるためと説明している。

長野市総務課の課長は「個人情報の扱いがあるので、議論が発散する段階では非公開で進めたいという委員側の希望」と話した。

市は今後、改善点などの議論に移った際は、会合を公開する方向で調整するとしている。

これまでの会合は論点整理にとどまっており、具体的にどのようなミスや落ち度があったのかは明らかになっていない。

市は秋ごろまでには検証結果をまとめたいとしている。

(長野放送)

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