大学生連続放火「世間の注目集めたかった」懲役3年の判決 400年の歴史ある神社焼失 判決受け『再建へ』決意新たに

京都府福知山市で神社などに放火した罪に問われた元大学生の男に対し、京都地方裁判所は懲役3年の実刑判決を言い渡した。

■6件の不審火に関与した罪

当時19歳の大学生だった男は、去年5月から6月にかけて福知山市内の神社やホームセンターに放火するなど、合わせて6件の不審火に関与した罪に問われている。

■「大学生活のストレスで大きな火が見たかった。世間の注目を集めたかった」

これまでの裁判で男は起訴内容を認め、「大学生活のストレスで大きな火が見たかった。世間の注目を集めたかった」などと話していた。

争点は男の『責任能力』で検察側は「完全責任能力があった」と主張し、懲役5年を求刑。一方、弁護側は「心神耗弱だった」として減刑を求めていた。

■400年の歴史ある神社焼失 再建目指しクラファン開始

放火された建物の1つ、400年の歴史を誇る愛宕神社。 事件から1年がたっても基礎の部分だけが残った姿だ。

元の規模に再建するには1億4000万円以上の費用が必要だが、男に損害賠償を請求しても支払いの見込みは不透明で、神社を管理する土手隆晴さんたちは、6月10日からクラウドファンディングで全国に支援を募っている。

愛宕神社再建委員会 土手隆晴委員長:再建できたらいいんです。一歩でも前の規模の神社にしたいがなかなかね。力がなくて困っているんです。

■元大学生の男に「完全責任能力ある」懲役3年の判決

土手さんたちも見守る中、迎えた12日の判決で京都地裁(増田啓祐裁判長)は、「愛宕神社の放火はあらかじめ用意した燃料を用いて、木造の神社という可燃性の高い対象を選んで放火するという危険性が大きい手口による悪質なものであり、全焼という重大な結果をもたらしている。敷地内に人がいたため断念して引き返したにも関わらず、再度赴いて犯行に及んだものであり、強固な犯意に基づくものといえる」と指摘。

「一連の犯行により、地域社会に大きな不安を感じさせたことも看過できない。被告人はわずか約1か月で6回にわたり、同じような犯行を繰り返したもので、強い非難を免れない」としたうえで、「被告は完全責任能力がある」として懲役3年を言い渡した。

■「神社がどうなったか写真も見たと思う。社会復帰後のケアを十分に活用して」と裁判長

また増田啓祐裁判長は最後に被告の男に対して次のように語りかけた。

増田啓祐裁判長:6件の放火を起こして、社会に与えた危険性の責任はやはり重い。まず最低限のことをして、こういうことを繰り返すことのないよう、火をつけるのがどれだけ危険か分かったと思います。
愛宕神社がどうなったか写真も見たと思います。繰り返すことのないように、生活環境を整えることも必要。社会に戻ったあと、地域の中でケアしてくれる人たちのもとで生活も期待される。サポートする人のもとで、生活するときは、その人のことをよく聞いて、社会復帰したあとのケアを十分活用して生活してください。

■「反省の弁もない。他人事みたい」

愛宕神社再建委員会 土手隆晴委員長:求刑が5年で、(判決が)3年ですか。なんか短いような、よう分かりませんけど。反省の弁もありませんし、これでいいのかと思うのと、我々被害者に対して何もない。他人事みたいに私は受け止めました。

土手さんは『再建に向けて一歩でも近づけるように頑張りたい』と決意を新たにしていた。

(関西テレビ 2024年6月12日)

© 関西テレビ