堤聖也 憧れ井岡一翔と競演に「僕が高校生の時にテレビで世界戦をやっていた人。純粋にうれしい」

 次戦に向けて記者会見を行った堤聖也

 「ボクシング・10回戦」(7月7日、両国国技館)

 ウィーラウット・ヌーレ(タイ)と対戦するWBAバンタム級2位(WBC11位、IBF3位、WBO7位)の堤聖也(角海老宝石)が13日、都内で記者会見を行った。

 ウィーラウットは戦績4勝(2KO)1敗で今年4月、西岡伶英(川崎新田)に判定負けしている。いつ世界に挑戦してもおかしくないランクで「次は世界戦だと思って練習していた」という堤は、「(世界)前哨戦と言っていいほどの相手でもないと思う」というウィーラウットとの試合を受けた理由を「憧れの選手とリングで戦えるのは光栄なことなので、それが決め手としては大きい」と説明した。

 この日のメインイベントはWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(志成)とIBF王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)との統一戦。堤は「(井岡は)僕が高校生の時にもうテレビで世界戦をやってた人なんで。そういう人と同じ日に同じリングで戦えるのは光栄だし、純粋にうれしい。僕の中のヒーローと競演できるので」と打ち明けた。

 5月24日から今月10日まで米国合宿を行ってきたばかり。WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)、7月20日に加納陸(大成)とWBO世界フライ級王座決定戦を行うアンソニー・オラスクアガ(米国)、WBOバンタム級8位のサウル・サンチェス(米国)らとスパーリングを重ねてきたという。

 「まだ自分弱いなっていう気持ちにはなりましたね。弱さの再確認はできたかな。行って良かったなと思いました。強い世界ランカーなので、トニー(オラスクアガ)には刺激もらいましたね。(世界は)遠くには感じてないですね。試合すれば取れるかなとは思いますけど、中谷くんは強かったですね、ホントに。全然やられたんで。総合的な部分ではみんなレベル高いなと思いました。的確性だったり、アメリカの選手は思い切りの良さというか、うまいボクシングというより動物的な強さを感じましたね」

 堤はこのように、現地での成果を語った。

 試合は昨年12月26日、日本バンタム級タイトルマッチで穴口一輝選手(真正)を破って以来となる。穴口選手は試合後に右硬膜下血腫の緊急開頭手術を受け、2月2日に23歳の若さで死去した。

 堤は穴口戦を経た心境を「ずっと一緒です。(いつも)覚悟してリングに上がっているからね」と述べつつも、「それは別に今ここで言うことじゃないと思うし、僕は僕のボクシングをやるだけなので」と、多くは語らず。「練習はずっとやめていなかったし、そこ(穴口選手)とは切り離して。今でも毎日(穴口選手のことは)思い出してますし考えていますけど、それがボクシングに影響どうとかは僕の中にはないですね」と話した。

 一方で、穴口戦の試合内容に関しては「試合終わって最初の感情は悔しいだったから。ボクシング勝負でフルで負けてたんで。結局勝負強さと自分のパンチで倒して勝ち取ったけど、結局それに頼ってちゃ…最終手段じゃないですか、ああいうので勝つっていうのは。自分のボクシングレベルの底上げはもっと必要だなと。なので変わらず練習してって感じです。技術勝負でも勝てると思っていたので、あの日は」と反省を口にしていた。

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