「Apple Intelligence」は「Siri」を通じてどんなアプリでもAIを活用可能/

by 松永 侑貴惠

パーソナルAI「Apple Intelligence」を発表

米Appleは6月11日(日本時間)、パーソナルAI「Apple Intelligence」を発表した。iOS 18/iPadOS 18/macOS Sequoiaで無料で利用可能で、今秋より米国にてベータ版をリリース予定。追加の言語対応は2025年中を目指している。

「Apple Intelligence」は、単なる文書や画像の生成にとどまらず、システムのあらゆる場面で活躍できる生成AI。画像や動画の検索やパーソナル絵文字「Genmoji」の生成、「Siri」との統合などにより、どんな時でも生成AIのパワーを使えるようになる。

言語を理解した機能

「メール」「メモ」「Pages」の純正アプリに加えて他社製アプリで、文章作成のサポートや内容要約をしてくれる。

書く場面で、文章の書き直し、校正、要約が可能
「要約」でテキストを選択後、これを段落、箇条書き、表、リストなどのかたちにまとめてくれる

「メール」アプリでは、受信ボックス上部の優先メッセージのセクションに緊急性の高いメールを表示したり、メール一覧で各メール本文を要約したものを表示可能。このほか、メール返信をサポートする「スマートリプライ」といった機能も搭載される。

優先メッセージを自動で選び、表示
メール本文の要約をしてくれる

ロック画面には、たまった通知の中からAIが優先度の高い内容を一番上に表示できるほか、集中モードにユーザーがすぐに確認すべき通知のみを表示する「じゃま低減」が追加される。

たまった通知の中から優先度の高い内容を一番上に知らせる
必要な通知のみを知らせる「じゃま低減」

「メモ」「電話」アプリでは、音声の録音、書き起こし、要約ができるようになる。通話中に録音が開始されると参加者に自動的に通知が届き、通話が終了すると「Apple Intelligence」が要約を生成可能。

録音、書き起こし、要約をしてくれる

Image Playground

画像生成機能としては「Image Playground」が追加される。アニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選び、数秒ほどで画像を作成可能。作成した画像は、「メッセージ」アプリにおいても会話や友人、アクティビティなどに関連する画像を作成できる。

数秒ほどで画像を作成可能

「メモ」アプリでは、Apple Pencilのツールパレット内に「Image Wand」が追加された。メモ内に簡単に描かれたスケッチと、周りのコンテキストをもとにした画像を生成可能だ。

メモ内に簡単に描かれたスケッチを、周りのコンテキストをもとに画像を作成

Genmoji

簡単な説明を入れるだけで、新しい絵文字を作成してくれる「Genmoji」も追加される。「Genmoji」は、文中に追加できるほか、メッセージのリアクション(タップバック)にも使うことが可能。

説明にあわせ絵文字を作成
メッセージのリアクションにも使える

写真の新しい機能

写真とビデオに対しても、「Apple Intelligence」を活用できるようになる。写真には、背景にある邪魔な対象物を削除できる「クリーンアップツール」が使用可能。

クリーンアップツール

ビデオでは、作りたい映像のイメージを指示することで、それに適した写真やビデオを選び、イメージに合う楽曲を「Apple Music」から提案して、ムービーを作成してくれる。

ムービーを生成

このほか、写真とビデオの検索でもAIを活用。とある写真やビデオを見つけたいとき、『マヤが絞り染めTシャツを着てスケートボードをしている』や『顔にステッカーが付いているケイティ』といった検索文で検索ができる。ビデオにおいては、特定のショットを見つけることも可能だ。

Siri

「Siri」は「Image Playground」のパワーを加え、より綿密にシステムに統合される。。『より自然に、よりパーソナルに』回答をしてくれるようになり、アプリを横断してアクションを起こすことが可能。例えば『土曜日のバーベキューで撮った写真をマリアに送って』と伝えれば、「写真」アプリや「メッセージ」アプリなどを横断して指示に応えてくれる。

また、友人がメッセージで新しい住所を送ってきた場合、受信者は『この住所を彼の連絡先カードに追加して』との指示に対し、画面に表示された情報を画像認識して操作を実行可能。

「Siri」は、アプリを横断して回答可能に

さらに「Siri」は「ChatGPT」へのアクセスが統合され、ユーザーがツールの間を行ったり来たりしなくても、画像と文書を理解するために「ChatGPT」の専門知識へアクセスできる。

「Siri」は必要とあらば「ChatGPT」と接続して回答することも可能
ユーザーが許可することで、「ChatGPT」へのアクセスが可能
「ChatGPT」による回答
「ChatGPT」による画像生成も可能

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https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1598993.html

セキュリティ

「Apple Intelligence」は、原則デバイス上で処理を行うが、より多くの処理能力が必要となる複雑な指示があった場合、クラウドの「Private Cloud Compute」にアクセスして処理を行う。このためAppleは、Apple製デバイスのプライバシーとセキュリティをクラウドにまで拡張し、安全に「Apple Intelligence」を使えるようにするとのこと。

「Apple Intelligence」の利用には対応ハードウェアが必要。iPhone 15 Pro/MaxやM1以降を搭載したiPad Pro/Air、M1以降を搭載したMacBook Pro/Air、iMac、Mac mini、M1 Max以降を搭載したMac Studio、M2 Ultra以降を搭載したMac Proが対応する。

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