「後輩たちの成績不振が続き、とても残念」韓国女子バレーの元スーパーエースが、母国の現状に心中を吐露「長期的な視点でバレー界の進路を熟考すべき」【ネーションズリーグ】

バレーボール女子日本代表がパリ五輪への切符をかけて参戦中のネーションズリーグ(VNL)は、福岡・北九州市で6月11日に予選3週目が開幕した。世界ランク6位の日本は、同38位の韓国と対戦し、セットカウント3-0(25-16、25-16、25-23)のストレート勝利で最終週を白星発進した。

福岡大会の終了時にパリ五輪出場の残る5枠が決定するとあって、切符を狙う日本には重要なラウンドだ。1枠は自力出場チームのないアフリカ大陸の世界ランク最上位国が権利を有するため、残されているのは実質4席。日本はアジア大陸最上位、もしくは出場確定国を除いた同ランクでトップ3入りすることで、6大会連続のオリンピック出場が決まる。

韓国とは、ロンドン五輪で日本がストレート勝利により銅メダル獲得を果たし、東京五輪ではフルセットの末に韓国が日本の8強入りを阻んで4位。日韓戦はアジアの宿敵対決と言われる位置づけだったが、スーパーエース、キム・ヨンギョンの代表引退から低迷が始まり、今年5月にはついに30連敗へ陥った。

日本は、世界ランクで30位台に沈む韓国に黒星なら、ランキングポイントを大幅に失うため勝利が必須の試合で、第1セットを序盤から、第2セットは後半に突き放して試合を先行し、粘られた第3セットでは終盤に勝負強さを発揮して逆転で完勝。通算7勝1敗として同ランク6位をキープし、2週目に直接対決を制して中国から奪取したアジアトップの座を死守した。一方、韓国はタイに勝利して不名誉な連敗記録を「30」で止めるも、以降は再び負けが込み、これで5連敗。通算1勝8敗となり予選ラウンドでの敗退が決まった。
3大会前の五輪でメダルを争ったライバル日本と、くっきり明暗が分かれた韓国。同国のインターネット新聞『デイリアン』は、五輪で4強入り2回を果たすなど10年以上続いた同国代表の隆盛期に多くのバレーボールファンが思いを馳せ、「キム・ヨンギョン選手が恋しい」とSNS上で悲嘆の声を上げていると報じた。

ロンドン五輪でトップスコアラーとMVPをダブル受賞した元代表主将のキム・ヨンギョン自身も、いまの韓国チームの状況について、先週行なわれた自身の現役引退試合で言及。同国最大発行部数を誇る全国紙『朝鮮日報』によれば、「韓国バレー界の進むべき方向を、国内の競技従事者すべてが深く考えなければいけない」「国際大会で後輩たちの成績不振が続き、とても残念」と心痛を吐露し、「韓国では代表よりも国内リーグが優先される。代表メンバーがトレーニングに集中して取り組めるように、チームスケジュールを合わせるくらいの支援が必要」「短い時間で多くの変化を望むより、長期的な視点で討論を重ねていく必要がある。その上で韓国バレー界の進路を熟考すべき」と体制への苦言と母国代表への思いを語ったと伝えている。

昨年のVNLではチームに帯同してサポートを行なったキム・ヨンギョン氏へ、ファンからは将来の代表監督就任を熱望する声が上がり始めている。

構成●THE DIGEST編集部

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