「医師と学校は健診に共通認識を」 小学校の健診で下腹部に聴診器 腸の音の診察は事前相談無し

北九州市八幡西区にある小学校の健康診断で、男性医師が児童の下腹部に聴診器を当てていた問題です。

文部科学省は、健康診断の内容について事前に、児童や保護者の理解を得るように通知していますが、腸の音を聞くことは事前に知らされていませんでした。

小学校の検診で下腹部に聴診器下着の中に手を入れられた児童も

この問題は、今月5日、八幡西区の小学校で実施された健康診断で60代の男性医師が、2年生と5年生の児童およそ90人全員の下腹部に聴診器を当てていたものです。一部の児童は、下着の中に手を入れられていました。

教育委員会の調査に対し男女18人の児童が、「嫌だった」「気持ち悪かった」などと訴えたということです。

また、5年生の女子児童が家族に「胸を触られた」と話していたこともわかりました。

小学5年の児童の祖母「聴診器をしながら胸を触られたみたいことをいっていました。気持ち悪かったといっていました」

男性医師「医療行為の一環で」

男性医師は市教委に対して、「医療行為の一環でへその回りに聴診器を当てた。腸の音を聞いていた。」などと説明しています。

医師会幹部「ある程度学校医の判断に任されている」

健康診断で腸の音を聞くことは一般的なのでしょうか?

内科医として10年以上学校医を務める北九州市医師会の安藤文彦副会長は、医師の判断によると話します。

北九州市医師会・安藤文彦副会長「ある程度学校医の判断に任されているところがある。私も小学校の校医をやっていますけど、自分自身腸の音まで聞いているかというと私はしていません」

「医師と学校側が健診の進め方に共通認識を」

文部科学省は今年1月、児童のプライバシーや心情に配慮するため、健康診断の時には原則、体操服などを着せるように自治体などに通知しています。

また、通知では健康診断の内容について、学校が事前に医師と相談をして児童や保護者の理解を得ることが必要とする考えが示されています。

しかし今回、腸の音を聞くことは事前に伝えられてなかったということです。

北九州市医師会・安藤文彦副会長「本来ならそこは学校医と学校側が健診の進め方について話して共通認識を持ってやらないといけないところが多分できていなかったと思う」

子供たちの健康を守るための健康診断が、子供たちの心に傷を残すようなことがあってはなりません。

医師と学校がよく話し合って児童と保護者の理解を得ることが必要です。

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