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4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観の小説「転(てん)の声」が13日、芥川賞の候補作に選出された。
同日、日本文学振興会が「第171回芥川龍之介賞・直木三十五賞」の候補10作を発表。尾崎にとって、芥川賞候補作に選ばれるのは2度目となった。
ほかの芥川賞候補作は朝比奈秋氏の「サンショウウオの四十九日」、坂崎かおる氏の「海岸通り」など5作。「転(てん)の声」は、文芸誌「文學界」(文芸春秋刊)の6月号に掲載された。受賞作は、7月17日に都内で行われる選考委員会を経て発表される。
同バンドは2012年にメジャーデビュー。尾崎は2016年に初小説「祐介」(文芸春秋刊)で小説家デビューし、20年には「母影(おもかげ)」が芥川賞の候補作に選出されていた。
「名前の『世界観』は芸名で、本名は初小説のタイトルでもある『祐介』。初期メンバー時代の2005年から『世界観』と名乗るようになったが、音楽活動での『世界観が良い』という評価に不満を持ち、自分の名前にすれば言われなくなると考え、世界観を名乗るようになった。小説家としての作品『祐介』は“半”自伝小説であり、『尾崎祐介』が『尾崎世界観』になるまでが描かれているが、創作活動の源は、芸名を名乗るに至った心の葛藤などだったようだ」(出版業界関係者)
同バンドは、尾崎の作る独特の歌詞と、ハイトーンボイスが特徴的。この特徴は、「クリープハイプのファンの女性の心情」を描いたメジャーデビュー後のセカンドシングル「社会の窓」において、自虐的に歌詞にも組み入れられている。
それ以前のインディーズ時代に発売したセカンドシングルのタイトルは、「どんなに素晴らしい絵を描く事よりもどんなに綺麗な写真をプリントする事よりもここであなたに伝えなきゃいけない事がある 今その事に気づいたそれはこのケースの中に大切にしまってある きっと僕はそう思う。」。かなり文学的だった。