【解説】相次ぐエスカレーター事故 60歳以上が全世代のほぼ半数 歩行補助器やキャリーバッグ使用の事故多数

12日、都内のスーパーで起きたエスカレーター事故。

実は、エスカレーターでの事故が相次いでいて、中でも60歳以上の人が全世代のほぼ半数と、数としては圧倒的に多くなっている。

このニュースについて、フジテレビ・立石修取材センター室長がくわしくお伝えする。

60歳以上の人の事故の原因は、歩行補助器や重たい荷物を運ぶキャリーバッグを使って事故に遭うケースが非常に多い。

今回の事故も巻き込まれたのは80代の女性で、手押しカートを押しながら下りのエスカレーターに乗っていたところ、事故に巻き込まれた。
進行方向から見て、左側の手すりの巻き込み口と床の間に首を挟まれたとみられている。

救急隊が駆けつけた時には、あおむけの状態で、その後に亡くなった。

――歩行器などでエスカレーターに乗ると危険性が高まるということだが、今回の事故もカートが誘発したということか?

警視庁によると、エスカレーターで女性が立っていた場所から1段下にカートを載せていたが、降りようとカートを持ち上げようとした直後に転倒した様子が防犯カメラに映っていたという。

ただ、エスカレーターに不備があったという話はなく、カートが引っかかったのが事故原因かどうかは、まだわからないという。

福祉用具を取り扱う「テクノエイド協会」の五島さんに話を聞いたところ、「手押しカートでエスカレーターに乗った場合、車輪にもしロックをかけてしまうと、降り口で引っかかってしまう。車輪がスムーズに走らずに止まってしまう。そうすると、転倒する可能性が高い」と指摘した。

エスカレーターに乗るときは手すりにつかまるのが基本だが、歩行器ではそれがなかなかできない。

特に高齢で足の力が弱っている人などは、しっかり握ることが重要だと指摘している。

韓国で70代の高齢の男性が、エスカレーターの途中で手すりを離してしまったため、降り口近くで転倒し、エスカレーターを転落していく事故映像がある。
エスカレーターが動いているため、どこまでも止まることができず、一命は取り留めたが、大けがを負った。

日本エレベーター協会では、事故の半分以上が乗り方不良が原因で、手すりを持たずに転倒したり、ステップの黄色い枠からはみ出して足を挟まれるなどの原因を指摘し、「歩行用カートやベビーカーなどは、エスカレーターでは使用しないように」と呼びかけている。

―商業施設のエスカレーターで巻き込まれる事故が目立つが、対策をとらないといけないのでは?

数年前に、香川・高松市の人気インテリアショップで、車いすに乗っていた79歳の女性と、それを押していた夫が転落し、事故に遭うケースがあった。

売り場面積も影響するが、車いすやカートというものが乗れるような大型のエスカレーターを考えていく必要がある。

費用はかかっても、企業のブランド価値の向上に寄与すると考えられる。

© FNNプライムオンライン