宮島の高級ホテル誘致問題 市が見直し案「海岸全体を公共エリアに」 住民からは疑念の声 広島・廿日市市

廿日市市が世界遺産の島・宮島に誘致しようとしている高級宿泊施設の計画を巡り市が反対住民の意見を反映した見直し案を出しました。今後の行く末を「ツイセキ」します。

【廿日市市・村上雅信 副市長】
「地元の人々や関係者の人々に不安や混乱を招いていることにつきまして、大変申し訳なく思っています」

廿日市市と宮島の住民による高級宿泊施設の計画を巡る3回目の協議会。
最初に村上副市長が「不安や混乱を招いた」と陳謝したあと、初めて議論の様子が公開されました。

市は「見直し案」を示し、当初の宿泊施設の整備エリアを縮小しつつ、自然公園の海岸全体を今後も公共エリアとして誰でも使えるようにする方針を出しました。

【廿日市市 産業部・木下英治 部長】
「宮島の自然、本質を生かせるような体験を公募にあたっては事業者には求めていくし、宮島全体のブランド力の向上につながるように考えていますので」

しかし宮島の住民の委員からは「自然公園」に宿泊施設ができること自体に疑問の声があがりました。

【宮島旅館組合・有本隆哉 前組合長】
「高付加価値旅行者に対応した宿泊施設のテーマを守らないといけないのかどうか。宿泊施設がメインの公園であってはならないと思うんですね」

【五十川記者】
「建設が計画されている公園です。利用者の低迷を受けて今年3月で指定管理者が撤退しました。入り口に「閉園中」の表示があります」

市は島の東側にある包ヶ浦自然公園に1室1泊10万円以上の高級宿泊施設を誘致し主に海外からの観光客を呼び込む構想を掲げています。
一方で反対住民は「自然破壊を招くのでは」「公園が旅行者だけのものになる」などと計画の白紙撤回を求め、先月、協議会が発足して以降も議論は平行線をたどっていました。

今回、住民の声に歩み寄る形で市は「公共エリア」の拡大とともに、手つかずの自然を学習できる拠点を整備したいとしていますが…

【宮島包ヶ浦自然公園を守る会・正木文雄 共同代表】
「(元々の公園の)利用率が減少してきたというのは確かなんですけど、原因はなんなのかという部分をやはり究明する必要があるんではなかろうかと」

【廿日市市・村上雅信 副市長】
「自然とホテルの両立を図っていこうという考え方ですので、それが今後の包ヶ浦のよりよい形になっていけばいいなと」

次回の協議会は来月19日に開かれ、現地を視察することになっています。

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