教職員のなり手不足問題「自分の時間なさそう」「一般企業考えている友達結構いる」教育学部の学生と意見交換 教員の働き方改革(1)

いま大きな課題の一つに上がっている教職員のなり手不足。長崎県内公立学校では、2014年度以降の教職員の志願者数が右肩下がりとなっていて、来年度の志願者は初めて千人を割り込みました。

背景には若者の人口減少に加え「時間外労働が多い」といったブラックな職場のイメージがあると見られています。こうした現状を受けて、県はこの春から若者の教職員離れを食い止めるための取り組みを始めました。

2024年4月に、長崎県教育庁にできた新部署。「働きがい推進室」

長時間労働が問題となっている教員の働き方の見直しや、教職の魅力発信が主な業務です。

山下室長は新設の理由をこう語ります。
「このままでは教員になりたいと思う人は減り、子供たちが学ぶ環境が維持できなくなるのではないだろうかという現状を受け、特に教員の働き方、働きがいに力を入れるために新設されました」

「働きがい推進室」が新たに始めた取り組みの一つが、県内の教職員から現場での気づきや意見を直接届けてもらう体制の構築です。その名も「求ム!改善eーアイディア」。職場環境の改善につなげるのが狙いで、開始2週間ほどで10数件の提案が寄せられています。

長崎県教育庁 働きがい推進室 山下健哲 室長:
「県教委に直接働き方に関する提案ができる。誰もがいつでも、スマホからでも提案できるというところにポイントがあります」

学生の関心が高かったのは働き方や人事異動

さらに初の試みとして先月、長崎大学教育学部の学生との意見交換会を開催し、学生の本音を探りました。

山下室長:
「教員にどんなイメージを持っていますか?きつそう?子どもたちと一緒で楽しそう?」

学生:
「朝早く行って、夜遅くまで仕事をすることが多いという話を聞く。残業が多い、仕事を家に持って帰っているとも聞いて大変だなと思っています」

学生:
「担任の先生はずっと授業だし、休み時間だったら一緒に遊んだりするし、自分自身の時間がなさそうだなっていうイメージがあります」

およそ2時間にわたった意見交換で、学生の関心が高かったのは教員の「働き方」や「人事異動」についてでした。

学生:
「人生設計が立てづらいなと思っています。女性だったら出産とか結婚とかあると思うから、離島赴任の時期を自分で設定できるのであれば、それが一番かな」

学生:
「部活を外部指導にするという話はだいぶ前から出てると思うんですけど、今どうなってるのか?気になります」

県教委:
「部活動の指導はやりたい?」
学生:
「部活は中学生にとっては学校生活の一部だし、それに教員が積極的に関わっていくのは当然のことだとは思うんですけど、私生活にまで関わってくるところなので、考えていかないといけないところだとは思ってます」

長時間労働で不安

長崎大学教育学部の卒業生のうち、教職の道に進むのはおよそ8割。5人に1人は《他の進路》を選んでいます。教育実習で現場を見て一般企業への就職に考えを変える人もいます。

学生:
「長時間労働で大変だから、一般企業を考え始めている友達が結構いる。教員の働き方とかに不安を感じてる人がたくさんいるので、現状や改善に向けた動きなどを少しでも知る機会があったら」

山下室長:
「色々私たちがやっていても、それが学生になかなか届いていないということが分かりました。しっかり情報発信や魅力も発信して伝えていきたいなと思いました。どんどん若い方の意見を聞いていきたいと思っています」

「働きがい推進室」では、教職員離れを食い止めるため、若い教職員から直接意見を聞く機会も設けるなど、教育現場を維持していくための模索を続けています。

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