那須川龍心が語る、兄・天心への思いや『今日好き』参加の裏側 「反対されたからこそ『じゃあ出よう』と」

格闘技シーンの面白さを、若年層マーケティングを手がける株式会社bieno代表・奥原ゆきのとともに伝えていく連載『Still enjoying martial arts~"配信コンテンツ”で格闘技はもっと面白くなる!~』。

今回は、MMAへの挑戦や「ABEMA」の恋愛番組『今日、好きになりました。卒業編2024 in セブ島』への参加が話題になった若手格闘家・那須川龍心が登場。格闘技を始めたきっかけや、現在はプロボクサーとして活躍する兄・那須川天心への思い、6月15日に開催される『RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA』への意気込みなどを語ってもらった。聞き手は、株式会社bieno代表であり現役大学生の奥原ゆきのが務める。(編集部)

<小学生の頃になりたかったのは「サッカー選手」>

奥原ゆきの(以下、奥原):龍心選手が格闘技を始めたのは、何歳のころなんですか?

那須川龍心(以下、龍心):5歳から空手を始めました。

奥原:たしかお兄さんの那須川天心選手も5歳から始めていましたよね。TEPPENGYMの会長であるお父様・那須川弘幸さんの教育方針なんですか?

龍心:そうですね。気がついたら始めていた、という感じです(笑)。

奥原:格闘家以外になりたい職業はなかったんですか?

龍心:サッカー選手になりたくて、小学校の頃から格闘技と並行して習っていたんです。格闘技の重要な大会に出るときには会長(父)に「この大会で優勝したら辞めさせてほしい、サッカーがやりたい」と言ってきたんですが、ことごとくそういう大会で優勝できなくて、格闘技の道に進んでいきました。

奥原:そんな過去があったんですね……。5歳になったら格闘技をやる、といったように、周りの友人と比べて「これは違うな」という那須川家のルールはほかにもあるのでしょうか?

龍心:外食するときに好きなものを食べられない、というのはあったかもしれません。栄養バランスを考えてのことだとは思うのですが「お前はこれを食え」と指定されるのが当たり前でした。いま考えると、会長の好みだったような気もするのですが……(笑)。

奥原:那須川家ならではの面白いエピソードですね! 昨年末には、RIZINでのMMAへの挑戦が話題になりましたが、なぜトライしてみようと思ったのでしょう?

龍心:周りを見ていて、自分はキックボクシングだけやっていていいのだろうか、と感じたのが大きいです。あと、自分自身もどんどん挑戦していく姿を見せていきたかったので、いい機会だと思って飛び込むことにしました。

奥原:『RUF presents RISE WORLD SERIES 2023 Final Round』での試合後に、RIZINの榊原信行CEOにリング上から直訴したことも話題になりました。あれは事前に言おうと考えていたんですか?

龍心:そうですね。見に来ているのがわかったので、「ここで言ったら面白いだろうな」と思って。

奥原:MMAのデビュー戦、シン・ジョンミン選手との対戦は、勝ち方がお兄さんである天心選手のMMAデビュー戦と一緒だと格闘技ファンから騒がれていましたね。あれは意図的だったりします……?

龍心:まさか! 意図的にもっていけないですよ。あの時はまさか腕十字をかけられると思っていなくて、本当はタップしようかどうか迷ったんですけど……ここでタップをしたら、天心を越えられないと思って。ギリギリで耐えていたら肘が抜けて、結果的に一緒の勝ち方になったというだけです。

奥原:そうして騒がれることに関して、プレッシャーのようなものはありますか?

龍心:いや、そこまでないですね。

<「『今日好き』に出たことで、同世代の女性から一気にフォローされた」>

奥原:すごいメンタルの持ち主ですね……。ここからはそんな龍心選手の別の顔も掘り下げていきたいと思います。2022年、高校1年生の時にRIZEでプロデビューをしましたが、学校の友人たちからはどんな反応があったのでしょう?

龍心:中学の友だちからは「すごいね」と声をかけてもらいましたし、試合を見に来てくれたりもしました。

奥原:正直、モテましたよね?

龍心:いやいや、全然モテてないです!

奥原:本当ですか? 恋愛といえば、「ABEMA」の恋愛番組『今日、好きになりました。卒業編2024 in セブ島』への参加も話題になりました。なぜ恋愛番組に挑戦しようと思ったのでしょう?

龍心:最初にお話をいただいたことがきっかけなんですが、家族に話したらみんな反対してたんですよ。「お前の恋愛なんか見たくない!」って(笑)。でも、反対されたからこそ「じゃあ出よう」と思っちゃったんですよね。普通に彼女も欲しかったですし。あとは天心がそういう番組に出たことがないというのも知っていたので、違うところを見せるにはちょうどいいと思ったのもあります。

奥原:オンエアは家族のみなさんと見たのでしょうか?

龍心:いや、一人でお風呂に入って見てました。「あの時のあの子の心情はこうだったのか」「俺のこと気になってたのか……!」と思いながら。

奥原:実際に旅に参加してどうでしたか?

龍心:最初は超大変でしたけど、1日目で慣れて以降はめちゃくちゃ楽しかったです。

奥原:TikTokでも「いつもと違う龍心選手が見れて嬉しい」という感想や、虫と格闘してる龍心選手の動画がバズったりと、さまざまな反応がありました。今回はカップルとはなりませんでしたが、また継続メンバーとして参加してみたいと思いますか?

龍心:前向きに考えたいです!

奥原:ちなみに『今日好き』で一緒になった同じ男性メンバーは、普段接するご友人と違うタイプだったりしたんですか?

龍心:そうですね、今まで出会ったことない人種に出会えた感覚で、すごく新鮮でした。一番仲良くなったのは『青春祭』で出会った川端 輝(てる)ですね(夏休み編2023・ニャチャン編・プサン編に参加)。最近TikTokを始めたのもてるをはじめとした『今日好き』メンバーの影響ですから。恥ずかしくて踊れませんけど……(笑)。

奥原:『今日好き』に出たことによって、ファンの方の属性は変わりましたか?

龍心:今までインスタのフォロワーさんは年上の女性の方と自分と同年齢くらいの男性が多かったのですが、『今日好き』に出たことで、同世代の女性から一気にフォローされました。

奥原:少し前のニュース記事で『今日好き 卒業編2024』を「女子中高生の内3人に1人以上が見ている」というデータが発表されていましたが、まさにその世代の方々からの支持を一気に得ることができたんですね(※1)。龍心選手は直近だと6月15日の『RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA』で塚本望夢選手と対戦します。塚本選手とは3度目の対戦となりますが、いかがでしょうか?

龍心:これまで2回負けている相手で、勝たないと次はない。だからこそしっかり勝って、タイトルマッチに向かって進んでいきたいです。

奥原:ありがとうございます。最後に同世代のいろんなことに悩んでいる読者の方に向けて、挑戦を続ける龍心選手からメッセージをお願いします。

龍心:挑戦することはすごく難しくて勇気のいることですし、失敗した時のことを考えると踏み出せないこともあると思います。ただ、一歩踏み込むことは本当に大事だと思いますし、挑戦して失敗することは絶対に無駄じゃないので、思い切ってチャレンジしてみてほしいです。

(※1):ABEMA調べ、統計局の人口分布における13歳~18歳の女性の総数(2022年10月時点)より、2024年3月25日~3月31日に『今日好き 卒業編 2024 in プーケット』ないしは『今日好き 卒業編2024 in セブ島』を視聴した人数から割り出して算出。

(取材・文=中村拓海)

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