【医師に聞く】露出癖って、病気? それともフェチ?

突然だけど、露出してる人に遭遇したことってある? 私はある。昼間、新宿二丁目にある雑居ビルの外廊下を全裸で歩く男に。体も顔も整っていたから、余計に覚えている。

SNSでも度々、性器を露出した画像や動画が周ってくることがあるけれど…彼らはなぜ、露出をしたくなってしまうのか。露出症の定義や心理状態、克服方法を「東新宿こころのクリニック」性依存症担当医の佐藤未光先生に教えてもらった。

ーー「露出が好きでやめられない!」という人は、パラフィリア(性的倒錯)の可能性あり。

ーー露出好きでつい行動に奔ってしまうのは、病気なのでしょうか。

露出することが好きな人が一概に病気であるとは限りません。病気の露出症は「露出障害」とよばれ、以下2つの定義が挙げられます。

●6ヶ月以上にわたり、自分の性器を露出したり他者に性的な行為を見られることで得られる強烈な性的興奮について、空想や強い衝動、または行動を繰り返している。
●上記のような事柄により著しい苦悩を抱えたり、日常生活に支障をきたしたり、同意のない相手に対して実際に行動化している。

ーー露出はフェチズムの範疇にある行為ではないのでしょうか。

露出症とは自分の性器や性的な行為を他者に見せることで興奮を覚える、パラフィリアの一種です。ただし人によっては、見せることではなく、誰かに見られてしまうかもしれないというシチュエーションに興奮を覚える人もいます。

また、単純に屋外などで性器をあらわにすることが好きだったり、撮影したものを人に見せることが好きな人もいます。そのような人も、自身が行っている行為を露出と捉えているため、人によって露出症の定義はさまざまで、広い範囲を含んでいます。

お話にあったフェチシズムもパラフィリアの一種ではあるものの、物体や性器以外の人体の一部だけに対して強い性的嗜好を持つことなので、厳密に言えば異なるものです。

ーー露出症になるきっかけは、その人の持つ“素質”に左右される。

ーー露出障害になるきっかけとしては、どのようなものが挙げられますか。

パラフィリアになるかどうかは、その人の持っている素質(一行動に対して性的な親和性があるかどうか)によります。

性的に興味を持つ見聞きして性的興奮を覚える→行動化と成功体験→繰り返すことで強化

といった過程を経てパラフィリアになります。インターネットが発達している現代では、特殊な状況にいなくてもさまざまな情報(行動化している人の体験談、実際にできる場所の特定、動画や画像による情報など)に触れることができるので、もともと持っている自分の素質が何かのきっかけで掘り起こされやすい状況にあると言えるでしょう。

特に重要なのはインターネットで得られた情報が、実際に自分でやることができたという体験です。その行動化がうまくいった場合は「成功体験」として脳に強く焼きついてしまいます。

ーーなぜ人に見られそう、人に見られることが興奮に繋がるのでしょうか。

今まで書いてきたように、そのことがその人の持つ素質(性的に親和性がある:つまり性的に興奮すること)だからです。ただし、それを獲得する期間には個人差があり、最初のちょっとした体験だけで強い成功体験が得られてしまう人や、長い期間をかけて脳に成功体験を焼き付けていくタイプの人もいます。

同意のない人に見せることで興奮を得る人(相手の驚く反応に対して興奮を覚える)、見られてしまうかもしれないというシチュエーションに興奮する人(スリル)、インターネットなどの媒介を通して見せることで反応を求める人(自己顕示欲や人からの好評価)など、興奮には様々な理由があります。

ーーSNSへ性行為を投稿するのも、露出症?

ーーSNSへ性行為を投稿することも、露出症と考えられますか?

SNSで自らの性行為をアップすることも、行為としては露出症の一つです。ただし、インターネットにアップするのは好意的な評価を求めて行われるので、心理的には通常の露出症とは異なるでしょう。

大抵の露出行為は非常にプライベートなのでほとんどの人は単独で行動する一方、同じ趣味嗜好を持つ人と一緒に行動することも、それはお互いに見せあったり画像を撮り合うなど、その状況においてお互いに興奮を高め合うことができるからです。

また、普段一人では露出しないけれども興味のある人が、何かで誘われて、集団になるとハードルが下がって行動化するケースがあるかもしれません。いずれにせよ特殊なケースです。

ここまで犯罪であるか否かは別の話としてお話ししてきましたが、大抵の露出行為は公然わいせつ罪に該当します。目撃者がいれば通報されるかもしれませんし、直接の被害者がいれば起訴される可能性があります。

治療に繋がるには、自らやめたいと思わなければ始まりません。やめたいと思ってやめることができれば、治療は必要ありません。けれども、生活に支障(時間やエネルギーを過剰に割いたり、リスクがあるなど)が出ていたり、誰かを傷つけている自覚がある(後悔している)のに繰り返していてやめられない場合は、性依存症としての治療を受けてください。

協力:東新宿こころのクリニック
性依存症担当医・佐藤未光先生
住所:東京都新宿区新宿6-281-12 DS新宿ビル2F(03-5155-5556)
http://www.higashishinjuku-kokoro.com/

企画・取材・インタビュー/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO

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