スマホの“ネットワーク利用制限”は限定的に許容すべき、総務省のWG

by 松本 和大

総務省は12日、「競争ルールの検証に関するWG(第57回)」を開催した。本稿では、公開された資料をもとに、スマートフォンの「ネットワーク利用制限」や「端末の下取りサービス」について示された考え方を紹介する。

ネットワーク利用制限について

ネットワーク利用制限は、債務不履行の端末や、盗難や不正契約などで入手された端末について、キャリア側で通話や通信の利用を制限するもの。あくまでキャリアの自主的な取組みとして実施されている。

中古端末市場においてネットワーク利用制限が問題視されており、中古端末を購入した人が、突然通話や通信を利用できなくなるケースがある。

他人の瑕疵で通信や通話が利用できなくなることを踏まえると、ネットワーク利用制限が許されるケースはなるべく限定することが必要である、という考え方が示された。

具体的には、盗難などの犯罪行為や不正契約で入手された端末などに関しては、キャリアが所有権を有しており、これらについてはネットワーク利用制限の許容が適当とされる。

一方、債務不履行の端末については、各キャリアの約款によって所有権は端末購入者に移っているため、ネットワーク利用制限は原則として禁止することが適当とされた。ただし、端末代金の支払意思を確認する期間として、購入から4カ月以内であればネットワーク利用制限も許容すべきとしている。

たとえばあるキャリアでネットワーク利用制限がかかっていても、ほかのキャリアであれば通信や通話を利用できることから、ネットワーク利用制限の有効性は減少している。

本人確認や与信審査など、ネットワーク利用制限に頼らない対策も検討しながら、必要に応じてネットワーク利用制限のあり方を見直していくべきとされている。

端末の下取りサービスについて

現在はキャリアが端末の下取りサービスを提供しており、Webサイト上では端末の状態に応じた査定基準が公表されている。

このうち、郵送で端末の下取りを申し込む場合について、キャリアの査定結果が利用者の想定と異なっても、利用者側でキャンセルはできない。

これについて、キャリアの査定結果と利用者の認識が食い違っていたときに、キャンセルできるようにすることが望ましいという考え方が示された。

キャリア4者はすでに、郵送の端末下取りであっても利用者側でキャンセル可能とする方針を打ち出しており、総務省ではキャリア各社の対応状況を確認していく構え。

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