文面は「新しい給付金のお知らせです」 横浜市、詐欺被害防止へチラシ刷新

 「新しい給付金のお知らせです」─。そんなうたい文句で始まるチラシを横浜市が作成し、市内の高齢者約94万2千人に順次送付している。「手続きには銀行口座の登録が必要」「ご自宅まで伺うのでキャッシュカードのご用意を」と畳みかけ、「ここまで読んで『おかしいな』と思わないと、詐欺にあうかも」と展開。特殊詐欺から身を守るための具体的な対策を促す内容に仕立てた。

 市は高齢者が狙われやすい特殊詐欺への注意を呼びかけるため、65歳以上の市民に年1回届ける介護保険料の通知書にチラシを同封している。昨年までは「電話でお金の話がでたら切る!」などと強い言葉で訴えていたが、今年は内容を大幅に変更。間接的な表現で対象者の行動を変える理論「ナッジ」を駆使し、13日に発送作業を開始した。

 チラシにはあえて、特殊詐欺を想起しづらい水色や青のデザインを採用。そこに犯行グループが多用する「うそ」を並べ立てることで、用意周到な詐欺の手口に気付く難しさを実感してもらい、固定電話を留守電に設定するといった対策を端的に紹介している。

 内容は市職員のアイデアに基づき、応用心理学の専門家が監修した。ウェブアンケート用のQRコードも掲載し、今後の啓発活動に役立てるという。

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