回転窓/新しい建設業へ

倒産増加に歯止めがかからない。帝国データバンクによると、5月の倒産件数が12年ぶりに1000件を超えた。インフレも要因の一つ。物価高倒産は建設業が最多だった。物価上昇が進む中で、適正に転嫁できていないことが問題だろう▼今国会で「第3次担い手3法」が成立した。担い手確保と生産性向上、地域での対応力強化の三つが柱。価格転嫁円滑化なども盛り込まれており大きな前進だ▼とはいえ課題も残る。「積算価格を予定価格として、それ以下でなければ落札できないのは先進国で日本だけ」。佐藤信秋参院議員は、10日の国会審議で公共調達の上限拘束性に言及し、「世界標準に近づけなくてはコストカット型経済が止まらない」と岸田文雄首相に詰め寄った▼企業が適正な利益を確保して従業員に分配し、物価も緩やかに上昇する。そうした望ましい流れに公共調達が水を差す状況はいかがなものか▼まずは官民で第3次担い手3法をしっかりと実践し、働き方や処遇を改善する。その上で正すべき所は不断の改善を目指すべきだ。新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)へ関係者の本気度が問われる。

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