台湾、毎年1万2000人の卒業生が日本へ=人材流出への懸念も―台湾メディア

11日、台湾メディア・民報は、台湾では毎年学校の卒業生1万2000人が日本で就職していると報じた。

2024年6月11日、台湾メディア・民報は、台湾では毎年学校の卒業生1万2000人が日本で就職していると報じた。

記事は、米半導体大手エヌビディアが高雄などにデータセンターを設立する計画を発表したことで、台湾では人材の確保を巡る議論が起きていると紹介。11日に立法院で行われた卓栄泰(ジュオ・ロンタイ)行政院長の報告に対する質疑で、国民党選出の葛如鈞(ゴー・ルージュン)立法委員が「就業ゴールドカード」など外国人材を呼び込む制度を設けているものの、その取得者は台湾から海外に流出する人よりも少ない状況だと指摘したことを伝えた。

そして、「台湾人材永続行動連盟」が実業家300人と発表した「2024台湾人才白書」で、台湾では毎年学校を卒業した1万2000人が日本に赴き就業しているほか、昨年米国から技術人材ビザ発給を受けた台湾人が3000人以上で世界7位の多さであり、ニュージーランドも年間7200人の台湾人を受け入れており、アジア人の中で最も多いことなどが明らかになったと紹介している。

その上で、卓行政院長が「世界は科学技術における台湾の地位を非常に重視している。人材の育成は非常に重要だ。人材の育成は学校だけでなく、どのセクションでも可能だ」と述べ、国家科学・技術委員会や数位発展部、経済部などが協同してAI(人工知能)人材育成に取り組むことで、人材は増えていくとの考えを示したと伝えた。

一方で、技術業界関係者の話として、政府は多くの技術人材を採用することに積極的な姿勢を示しているものの、賃金の低さが問題になっていると指摘。国家公務員として高級技術人材を雇うには予算が十分でなく、民間企業が雇ったとしても全体的な賃金は海外での「出稼ぎ」で得られる報酬より少ないとした。

記事は、「台湾の高級人材流出問題を解決するには、政府が率先して技術人材の賃金構造を見直し、その水準を市場ニーズに見合う程度まで高める必要がある」との指摘が業界関係者から出ていることを伝えている。(翻訳・編集/川尻)

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