核燃料開発 虚偽記録、社長が謝罪 茨城県と大洗町 再発防止求める 不正背景「業務過多」

記者会見で虚偽の記録作成を謝罪する日本核燃料開発の浜田昌彦社長(左から2人目)ら=県庁

茨城県大洗町の核燃料研究会社「日本核燃料開発」が長期間にわたり機器の点検を実施したとする虚偽の記録を作成した問題で、同社は13日、記者会見を開き、浜田昌彦社長ら幹部が謝罪した。不正が続いた原因については「担当者の仕事量や負担が大きかった」と業務過多などが背景にあったと釈明。県と町は同社に対し、28日までに再発防止策について報告書の提出を求める指示文書を交付した。

同社は2009~21年度、国の保安規定で定める放射性廃液タンクや燃料貯蔵施設の扉、給排気設備の弁など5件の機器点検を未実施のまま、実施したとする記録を作成。21年にも火災報知機の点検を約21年間行っていない不正が発覚したにもかかわらず、改善せずに継続していた。

原子力規制委員会は12日、検査の担当者1人に業務が集中して業務過多となっていたことを「組織的な問題」と指摘。4段階の深刻度レベルで下から2番目の評価を下した。

浜田社長は会見で「県民に心配や不安をおかけしたことを重く受け止めている」と謝罪。不正は担当者1人が行ったとしている。21年の不正発覚後に対策を進める過程で、昨年7月に今回の不正が判明したという。不正に関わった担当者については「周囲の手助けがなければ難しい作業について、協力を申し出られない環境だった。業務の遅れに対する上司の強い言動や圧力もあった」と述べた。

監督責任を取り、浜田社長らが報酬の一部を返上した。不正を行った担当者は4月末に自主退職した。

再発防止策については、点検要領書を策定した上で検査を行ったり、社内に保全活動推進本部を設置して管理職が現場担当者と連携したりする方針を示した。

同社は同日、国の保安規定には含まれない給排気設備の弁を点検していなかったことも明らかにした。

記者会見に先立ち開かれた同町の会合では、国井豊町長が同社の不正について「町民の原子力事業所に対する信頼を著しく損なうもので誠に遺憾」と指示文書を読み上げ、浜田社長に直接手渡した。

県も同社に対し、町と同趣旨の指示文書を手渡した。山崎剛防災・危機管理部長は「再度の事案の発生を重くみている。厳重注意にとどまらず、専門家による再発防止策の検証を行い、しっかりとした対応を要請していく」と述べた。

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