パナソニック ハウジングソリューションズ、「間取り図AI積算」を開始

従来の間取り積算システムをアップデートし、紙の図面から自動で拾い出しができる「間取り図AI積算」機能を追加した。煩雑になりがちな建材の見積り時間を半減できる。

パナソニック ハウジングソリューションズは、同社のパートナー会社向けに提供している業務支援サイト「Webハウズ間取り図積算システム」をアップデートし、「間取り図AI積算」の機能を追加した。

昨今、建築業界では大工の減少などによって労働生産性の向上が急務となっている。また、この4月からは「改正労働基準法」の適用も始まり、時間外労働に上限規制が設定されたことで、今まで以上に効率的な業務の進行が求められている。

建設業界の業務プロセスは、主に積算、提案書作成、設計、納品、施工に分かれる。そのうち積算、特に建材の見積りについては居室の数や広さ、部屋の形などの住宅プランニングによって必要数量が案件ごとに変わるため定型化することが難しく、ある程度のスキルや経験が不可欠となっている。

こうしたなか、同社は23年7月に住宅CADソフト3社と提携し、「Webハウズ間取り図積算システム」にCAD連携機能を追加。建材の必要数量の拾い出しなどを自動化した。しかし、データ連携可能なCADソフトが限定されてしまうことが課題となっていた。

そこで今回、紙の図面から自動で拾い出し可能な「間取り図AI積算」機能を追加、CADソフトを限定せずに拾い出し業務を効率化した。紙の図面をパソコンで取り込み、任意の寸法を指定するだけでAIが部屋別、部材別に自動で拾い出しを行う。また、CADデータをそのまま取り込んで拾い出しを行うことも可能だ。

さらに、コーディネートされた7つの空間パッケージから仕様を一括選定できる「Life Style Fit(ライフスタイルフィット)連携」機能も追加した。概算見積り時の仕様選定時間をわずか2分に短縮できるほか、ある程度のコンセプトを持った空間として提案できるため、一次提案としての顧客からの納得度を高めることにもつながる。

「間取り図AI積算」によって建材の見積り時間を半減した

今回の機能追加により、従来、住宅1棟当たり(建具15本/窓枠/床・幅木・廻り縁)の見積りに57分(拾い出し41分、仕様の選定16分)を要していたものを、25分(拾い出し15分、仕様の選定10分)に半減した。同社で定める標準寸法やデザイン、色柄を選択するか、「Life Style Fit連携」機能を使えば、17分まで短縮できる。今回の新機能を使ったパートナー会社からは、「時短した時間で顧客に別の提案をすることができる」など好評の声が挙がっている。

「『間取り図AI積算』機能を使えば、その場で取りあえずのスピード積算などが可能になる。これにより、流通の積算担当、営業担当、リフォーム供給主体など様々な事業者に対して圧倒的なスピードと効率化による業務改革を提供できる」(建築システム事業部営業戦略企画部 商品推進担当 商品販売企画課 野村秀樹 課長)として、今後もパートナー会社に向けて積極的な活用を促していく。

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